2017 Fiscal Year Annual Research Report
レプトンセクターにおけるLHC新粒子探索と新しい物理描像
Publicly Offered Research
Project Area | New expansion of particle physics of post-Higgs era by LHC revealing the vacuum and space-time structure |
Project/Area Number |
17H05396
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横崎 統三 東北大学, 理学研究科, 助教 (80779322)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ミューオンg-2 / レプトンセクター / 超対称標準模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミューオンの異常磁気能率(g-2)は非常に精密に測定されており、素粒子標準模型の予言値から3σ以上の乖離がある。ミューオンg-2の乖離は、標準模型を超える新しい物理がO(100)GeVに存在することを示唆している。一方で、CERNのLarge Hadron Collider(LHC)の新しい物理への制限は1000GeV程度である。つまり、素朴には新しい物理のエネルギースケールは1000GeV程度より高いことを示唆している。したがって、ミューオンg-2を説明しつつLHCの制限を満たす新しい物理を発見することは容易ではない。 本研究では、超対称性標準模型に基づき、ミューオンg-2を説明しつつLHCの制限を満たすことが出来ることを明らかにした。超対称標準模型では、標準模型の粒子に加えて超対称パートナー粒子が存在し、これらの粒子の量子補正によってミューオンg-2の乖離が説明される。本研究では、超対称パートナー粒子の質量がゲージ媒介機構によって説明されるときに、ミューオンg-2の乖離が説明できることを明らかにした。このとき、大統一理論の破れが非常に重要であることがわかった。このゲージ媒介機構による説明では、フレーバー物理の制限を容易に逃れることが出来るという点で魅力的である。また、超対称パートナー粒子の質量スペクトルの予言能力も高い。その結果、ヒッグス粒子の超対称パートナー粒子であるヒッグシーノが軽いことが明らかとなった。このヒッグシーノはInternatical Linear Collider(ILC)の良いターゲットに成り得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに、ミューオンg-2の乖離を説明する超対称な理論を構築出来た。さらにこの理論において第三世代の湯川結合定数が統一できることを示した。これにより、大統一理論に対する示唆が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、超対称性理論での説明を補完するため、より一般的な理論のフレームワークを考える。まず、世代間ゲージ対称性をニュートリノセクターを含む一般の場合に拡張し、ミューオンg-2の乖離を説明する。ミュー・タウ世代間ゲージ対称性を持つ理論においては、ミューオンg-2の実験値が説明できることが示されている。これをニュートリノを含む世代間ゲージ対称性に拡張することによって、ニュートリノの世代間混合の大きさ、ゲージ対称性の量子異常の有無を明らかにする。さらに、この理論模型において世代の構造の起源を解明する。また、約100MeVの質量を持つHidden Photonによってミューオンg-2の乖離が説明できることを示す。このとき、Hidden Photonは世代に関してユニバーサルでない結合を持つことが期待される。このHidden Photonがフレーバーを破る崩壊過程にどのように影響するかを明らかにする。最終的には、超対称性、世代間ゲージ対称性、Hidden Photonによる理論模型を構築・検証することによって、幅広いエネルギーレンジでのミューオンg-2の乖離の説明を網羅することが出来る。
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