2017 Fiscal Year Annual Research Report
超対称ttHプロセスで探る真空像
Publicly Offered Research
Project Area | New expansion of particle physics of post-Higgs era by LHC revealing the vacuum and space-time structure |
Project/Area Number |
17H05399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 道久 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (60749464)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 素粒子論 / 素粒子現象論 / トップクオーク / トップパートナー / 新粒子探索 / LHC / 暗黒物質 / 真空の安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙の真空の安定性の議論において、トップクオークのパートナー粒子が存在するかどうかは重要である。特に、高エネルギーでのヒッグスポテンシャルの振る舞いは、トップパートナー粒子がスカラー粒子かフェルミオン粒子であるかに応じ、それぞれ、安定または不安定に向かう傾向があり、パートナー粒子のスピン情報は、真空構造の理解に大きな影響を与える。
超対称性模型では、トップのパートナーとしてスカラー粒子であるスカラートップ、ヒッグス粒子のパートナーであるヒグシーノが存在する。これらの質量が比較的軽く縮退している場合には、スカラートップ-トップ-ヒグシーノ3体生成プロセスにより、単トップシグナルが観測されうることを以前示した。一方、この場合には単ジェットシグナルも同時に観測されることが期待されるが、LHC実験の順調な進展の結果、単ジェット探索にシグナルの超過が現在観測されていないことから、単トップが将来LHC実験で観測可能なシナリオはかなり制限されている。平成29年度には、トップパートナー粒子がフェルミオンである場合に研究を拡張し、単トップシグナルが期待される一方、単ジェット探索により強く制限されないシナリオが存在するかを議論し論文としてまとめた。フェルミオンパートナーの場合も、質量スケールが重くなるものの、スカラーパートナーの場合と同様に制限されていることを示した。また、暗黒物質候補粒子の多重度が高い場合には、単トップシグナルのみが観測される状況がありうることを示し、LHC実験において縮退スペクトルの場合に、定量的に単トップの制限を得ることの重要性を示した。本研究成果については、著名な国際会議であるSUSY2017(招待講演)を含む、いくつかの国際会議等において発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の平成27年度の計画通り、トップースカラートップー暗黒物質の3体生成プロセスについての研究を、フェルミオントップパートナーの場合に拡張し、定量的な結果を得た。 真空構造の理解というテーマに関連して、ヒッグスの自己結合の、将来ハドロンコライダー計画における測定可能性についても研究を行い、HE-LHC実験(27TeV)に於ける測定精度の試算を世界で初めて行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年末に、27TeVコライダーの基本諸元が決定されたことで、その効用評価、100TeVコライダーとの比較が世界的に重要になりつつある。このような状況のもと、トップ-スカラートップ-ヒグシーノ生成の、HE-LHC実験(27TeV)や100TeVコラーダーにおける展望について研究を拡げたい。また、この3対生成プロセスと、宇宙の暗黒物質との関係についても研究を拡げる計画である。本研究の成果は、国際会議等において発表を行う予定である。
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