2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the non-driven polarization modulator for precise CMB polarization measurements
Publicly Offered Research
Project Area | New expansion of particle physics of post-Higgs era by LHC revealing the vacuum and space-time structure |
Project/Area Number |
17H05406
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石野 宏和 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (90323782)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 宇宙マイクロ波背景放射 / 偏光変調器 / 非駆動 |
Outline of Annual Research Achievements |
非駆動型偏光変調器の作製と、その評価システムの構築を行った。前者については、産業技術総合研究所と岡山大学の間にH30年度末まで共同研究を契約した。産総研のクリーンルーム施設(CRAVITY)を用いて変調器の最初の試作を行った。シリコン基板の上にスパッターにより金属薄膜を塗布、リフトオフにより微細構造を形成した。このままでは金属薄膜が剥離することが分かったが、作製手法を工夫することにより、剥離を抑えることに成功した。顕微鏡写真により、一様な微細構造パターンを確認し、試作は成功したと考える。素子作製に平行して、CMBの観測で用いる帯域90-140 GHzでミリ波を発生・受信する装置を購入した。室温での光学定盤において、光学系のアライメントを行い測定システムを構築した。変調器は冷凍機内に置くが、測定系は室温に置く予定である。そこで正反射率を測定するシステムを構築する必要があった。マイケルソン・モーレ型の干渉計をヒントに、半透過膜と偏光グリッドを用いた正反射率測定系を考案し、構築した。半透過膜として、当該周波数でほぼ50%の透過率を持つ部材として、シリコン基板とサファイア基板の2つを候補として挙げた。それらの基板を購入し、透過率を測定することにより、その屈折率が期待通りの値であることを確認した。1軸性複屈折率を持つサファイア基板はCカットで、カット平面内においては一様な屈折率を持つが、45度傾けると異常軸の影響が出る可能性がある、ということで最終的にシリコン基板を半透過膜として採用することにした。パイソンを用いたプログラミングにより、周波数のスキャンとデータ取得を自動的に行うシステムを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミリ波発生装置と受信機および光学系に必要なワイヤーグリッド・曲面鏡などの選定を行い、今年度内に購入し、測定系の構築を行うことに成功した。また、偏光変調器の作製を、産総研の研究者と相談、設計図を描き、リソグラフィー技術により作製可能であることを確認した。金属薄膜が乖離してしまうトラブルがあったが、作製手法を工夫することにより、この問題を回避することができた。以上、今年度の研究開発進展は概ね順調であったと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
正反射率を測定するシステムの構築を行う。室温において、冷凍機内の試料の反射率測定を模擬し、反射率の測定を行う。アライメント手法を確立し、効率的に測定ができるようにする。冷凍機は、高エネルギー加速器研究機構のクリーンルームに設置してあるヘリウム3ソーブション冷凍機を用いる予定である。この冷凍機のシールドには直径3cmの穴が開いてあり、これをミリ波導入口とする。一方、室温からの放射による熱流入があるために、慎重に窓材を選択する必要がある。300GHz程度でカットオフを持つ低周波透過材を用いることにより、熱流入計算をすることにより、冷却可能かどうか計算上で確かめ、その後実機にて冷却する予定である。現在光学系は岡山大で構築しているが、これを高エネ研に移設し、冷凍機内に変調器を導入、正反射率を測定することにより変調効率を測定する予定である。
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