2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mathematical modeling of slow earthquakes based on interevent time and amplitude distribution
Publicly Offered Research
Project Area | Science of slow earthquakes |
Project/Area Number |
17H05414
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹尾 明子 東京大学, 地震研究所, 助教 (90756933)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | スロー地震 / 超低周波地震 / 沈み込み帯 / 南海トラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度の数理モデル構築に向け、実データを用いたスロー地震の検出と発生間隔や振幅分布の規則性解明を行った。 主な解析対象として西南日本の超低周波地震(VLFE)を選び、日向灘の浅部VLFEや紀伊半島沖浅部VLFE 発生域、四国西部の深部VLFE発生域、紀伊半島東部の深部VLFE発生域を解析した。 VLFEの検出には、防災科学技術研究所が運営する広帯域地震観測網F-netの連続記録を用いた。波形相関を利用するテンプレートマッチング法を用いてテンプレートイベントに類似するイベントを検出した後、相対位置や振幅を推定してイベントカタログを作成し、振幅分布および発生間隔分布を得た。 実データにテンプレートイベントの波形を足し合わた上で検出を行う合成波形テストを様々なテンプレート振幅毎に行い、検出率を振幅の関数として定量的に評価した。 得られた検出率を用いて、VLFEカタログの振幅分布を補正したところ、指数分布すなわち特徴的なサイズが存在することを示した。その特徴的サイズが地域によって10倍近く異なっており、プレート境界の不均質の空間スケールの違いなどを反映している可能性を示した。 浅部VLFEについては統計的に総発生個数の約半分以上が検出できており、発生間隔分布について議論可能なことが明らかになった。その分布は通常の地震の余震同様に指数分布を示すが傾きが異なっており、異なる発生素過程を持つことが示唆された。簡単な数理モデルで傾きを再現可能だが、群発活動の初期および終盤の発生率増加と低下については、時間発展を取り入れた物理モデルの構築が必要なことを示した。以上の結果を国際学会等で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度には3地域以上での解析を予定していたが、合計4地域で解析を行い十分なイベントカタログを作成することができた。そのカタログを元に、当初予定していた振幅分布の評価、その地域性や時間変化などを議論することができた。振幅分布の時間変化については有意なものが見られず安定していることがわかった。一方で特徴的サイズの強い地域性が明らかになり、その成因の解明のため他地域における解析が必要になった。これについてはH29年度中にデータ収集は行えたが解析が完了しなかったため、H30年度に追加解析を行う。 以上の振幅や発生間隔の議論について、浅部VLFEについては十分なカタログを作ることができた。しかし、四国西部の深部VLFEについてはH26以降活動が低調になっていたことが判明し、H27年度以降に設営に携わった新規観測点による直上観測データの解析を本研究に活かせなかった。H30年度はH29年度終盤に発生した大規模な群発活動の解析を行い、深部VLFEについても振幅や発生間隔の分布をより詳細に議論する必要がある。 H30年度に予定していた発生間隔の数理モデル構築については、H29年度中に簡単なモデルを提案することができた。よって、H30年度には時間発展を含むより詳細な物理モデル構築を行う余裕ができた。新学術領域「スロー地震学」内の物理学者との分野を超えた共同研究に向けて、いくつかの研究打ち合わせ行い、スロー地震とは異なる現象との類似点などを議論した。現時点では、具体的な成果や共著発表などには至っておらず今後も共同研究の模索が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるH30年度は、当初の予定通りスロー地震の発生モデルの構築を行う。新学術領域「スロー地震学」内の物理学者などと議論を重ね、発生間隔の分布が通常の地震と異なる要因について理解を進め新たなモデルを提案する。その際に、群発活動の始まりと終わりの定義や活動領域の客観的な評価が必要になってくる。そこで、統計学の専門家と共同研究を行い、より客観的なモデル構築を目指す。このために、日本またはニュージーランドにおいて国際共同研究を進める予定である。 一方で、H29年度に新たに明らかになったVLFEの特徴的サイズの地域性についてもモデル構築を進める。まず、解析地域や期間、使用するデータを増やすことでカタログを拡張し、地域性についてより詳細な議論をするための下準備を行う。解析地域は西南日本に加えて琉球海溝や日本海溝、アメリカ北西部やコスタリカなどを検討する。データについては新学術領域「スロー地震学」A01班が設置した広帯域地震計記録などを利用し、深部VLFEの検出率向上を試みる。次に得られた地域性と地質的な背景や様々なスロー地震活動の地域性との比較を行い、地域性の成因を検討する。 以上で得られた結果を国内外の学会で発表するほか論文誌に投稿する。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Toward standardization of slow earthquake catalog -Development of database website-2017
Author(s)
Kano, M., N. Aso, S. Annoura, R. Arai, Y. Ito, N. Kamaya, J. Maury, M. Nakamura, T. Nishimura, K. Obana, H. Sugioka, R. Takagi, T. Takahashi, A. Takeo, Y. Yamashita, T. Matsuzawa, S. Ide, and K. Obara
Organizer
2017 American Geophysical Union Fall Meeting
Int'l Joint Research
-
-
-
-
-