2017 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込む堆積物における間隙流体圧の時空間変化の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Science of slow earthquakes |
Project/Area Number |
17H05419
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
森重 学 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 数理科学・先端技術研究分野, ポストドクトラル研究員 (70746544)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スロー地震 / 沈み込み帯 / 水の移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
スロー地震の発生には水が重要な役割を果たしていると考えられているが、スラブから放出された後の水の振る舞いについて詳しく調べた例は少ない。そこで本研究では特に、水が岩石の隙間を出入りする際の岩石抵抗の効果によって水の移動がどのように変化するのかを調べた。まずは1次元の計算領域で、本研究で必要となる数値モデル(粘弾性変形する岩石の隙間を水が浸透流の形で移動するモデル)を確立した。また浸透率、岩石抵抗、境界条件、計算の時間ステップなどを変化させながらそれらの要素が水の振る舞いに与える影響を評価した。その後モデルを2次元の計算領域へと拡張し、岩石抵抗が大きいときには放出された水の一部がスラブのより内側へと移動することを示した。さらにモデルを3次元の計算領域へと広げ、スラブが外側に向かって折れ曲がる場所では水が互いに集まるように移動し、そこでの水の量や間隙水圧が増加することを示した。そしてそれらの結果をもとに、水の移動とスロー地震の島弧に沿った方向の活動変化やスラブ内地震、さらにスラブの沈み込み角度との関係を議論した。これらの結果をまとめたものは国際誌Geochemistry, Geophysics, Geosystems、そして国内誌「地震」に投稿・受理されている。学会や研究集会にも積極的に参加し、5月には日本地球惑星科学連合連合大会、9月にはスロー地震学研究集会、10月には日本地震学会秋季大会、そして12月にはアメリカ地球物理学連合秋季大会に参加し発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通りに研究が進み、論文も国際誌に1編、国内誌に1編発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は一旦2次元のモデルへと戻り、上盤プレートの物性(具体的には浸透率、岩石抵抗の大きさ)が水の移動にどのように影響するのかを調べる。
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Research Products
(9 results)