2017 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of Artificial Sesterterpenes by Redesign of Biosynthesis
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
17H05429
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡田 正弘 東京大学, 環境安全研究センター, 准教授 (40377792)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | セスタテルペン / 生合成 / テルペン |
Outline of Annual Research Achievements |
常法のBLAST検索法を用いてセスタテルペン合成酵素を効率的に探索することは困難だったため、テルペン合成関連酵素であると考えられる、およそ50,000種類のタンパク質の中から二機能性セスタテルペン合成酵素に特徴的な、前半部にテルペン環化ドメインを有し、後半部にプレニル基転移ドメインを有するタンパク質を選別したところ、既知のジテルペン合成酵素やセスタテルペン合成酵素を含めた合計200種類以上のタンパク質がセスタルペン合成酵素の候補タンパク質として選別された。なお、候補タンパク質は全てカビ(糸状菌)由来のものであったことから、二機能性セスタルペン合成酵素はカビ(糸状菌)に特徴的な酵素であると考えられる。また、系統樹解析の結果、既知のセスタルペン/ジテルペン合成酵素が含まれていない系統群が存在したことから、新規骨格を有するセスタテルペン合成酵素が存在する可能性が高いと考えられた。実際に、Penicillium属糸状菌由来の未知のI型二機能性セスタルペン合成酵素の候補タンパク質の機能解析、およびその生合成産物の構造解析を行った結果、新規セスタテルペン生合成酵素、および新規セスタテルペンを発見することができた。同様にして、II型テルペン環化ドメインとプレニル基転移ドメインを合わせ持つ、未知の二機能性テルペン合成酵素の候補タンパク質の機能解析を行った結果、新規II型ジテルペン合成酵素であることを解明した。なお、これは初めての二機能性II型ジテルペン合成酵素の報告例であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
常法のBLAST検索によりセスタテルペン合成酵素を効率的に探索することは困難であったため、テルペン合成関連酵素であると考えられるおよそ50,000種類のタンパク質の中から、二機能性セスタテルペン合成酵素に特徴的な、前半部にテルペン環化ドメインを有し、後半部にプレニル基転移ドメインを有するタンパク質を選別したところ、既知のジテルペン合成酵素やセスタテルペン合成酵素を含めた合計200種類以上のタンパク質がセスタルペン合成酵素の候補タンパク質として選別された。また、系統樹解析の結果、既知のセスタルペン/ジテルペン合成酵素が含まれていない系統群が存在したことから、新規骨格を有するセスタテルペン合成酵素が存在する可能性が高いと考えられた。以上の結果より、新規セスタテルペン合成酵素の探索は概ね順調であるといえる。 また、実際に、Penicillium属糸状菌由来の未知のI型二機能性セスタルペン合成酵素の機能解析、およびその生合成産物であるセスタテルペンの構造解析を行った結果、新規セスタテルペン生合成酵素、および新規セスタテルペンを発見することができた。以上の結果より、新規セスタテルペンの探索は概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
糸状菌由来のセスタテルペン合成酵素は、後半部に基質となるゲラニルファルネシル二リン酸合成ドメインを、前半部にゲラニルファルネシル二リン酸をセスタテルペンへと導く環化ドメインを有するハイブリッド型酵素である。昨年度は、それぞれのドメインのモチーフ配列をフィルタリングすることでセスタテルペン合成酵素のゲノムマイニングを行ったが、最終的に網羅的に効率よく選別できたわけではなく、既知のジテルペンの合成酵素との区別がつかなかった。そこでまず、探索条件を検討し、ジテルペン合成酵素とセスタテルペン合成酵素を区別できるようにする。そうして得られたセスタテルペン合成酵素の候補を、麹菌に異種発現させ、得られた培養液からセスタテルペンを精製し、各種スペクトル解析からその化学構造を決定する。さらにシトクロムP450や、ジオキシゲナーゼなどの酸化酵素を共発現させることでセスタテルペンの酸化体を生合成させる。それとは別に、細胞融合を用いて無作為に遺伝子を組み合わせることで様々なセスタテルペンの酸化体を生合成させることも検討する。具体的には、セスタテルペン生産菌とシトクロムP450や、ジオキシゲナーゼなどの酸化酵素が多数遺伝子にコードされている糸状菌を用いて、細胞壁を取り除いたプロトプラストを作成し、得られたプロトプラストを用いてPEG法もしくは電気パルス法を用いて細胞融合を行う。得られた融合体の培養液からテルペン類を精製し、各種スペクトル解析からセスタテルペンの酸化体の化学構造を決定する。以上のようにして天然にはない新規複雑骨格機能性分子を創製する。
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Research Products
(10 results)