2017 Fiscal Year Annual Research Report
理論計算を基盤とした生合成経路の探索と生合成リデザインへの挑戦
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
17H05430
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内山 真伸 東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00271916)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 理論計算 / 生合成経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
多種多様な構造を持つテルペノイドは、テルペン環化酵素により基本骨格構築がなされており、その閉環反応機構の解明は分子多様性解明の鍵となる。しかしながら、酵素内部での複雑な連続多段階反応のため、中間体の単離や反応機構の全容解明は実験科学のみでは困難である。 計算化学は実則困難な化学現象を解明できるポテンシャルを秘めている。本研究では、異なる数種のテルペノイドの環化反応の理論解析を通して構造多様性創出の原理(反応経路、選択性発現機構など)を明らかにし、実験化学者との共同研究を通じて遷移状態制御により新規セスタテルペン骨格構築への発展を目指している。 テルペン閉環反応は複雑な連続する多段階反応であるため、遷移状態・中間体構造の正確な予測が困難である。本研究では、まず、セスタテルペン Sesterfisherol、Quiannulatene、Astellatol を取り上げ、理論計算を用いて閉環反応経路の網羅的探索を行った。取得した全ての遷移状態・中間体構造に対し、電荷解析、軌道解析などを行い、反応駆動力、カチオンの反応性、立体・化学選択性について定量的に評価した。セスタテルペンの閉環反応は、共通の中間体を分岐点とし、各生成物へと分化していくと考えられてきた。そこで、各閉環経路を理論解析により比較することにより、反応経路の分岐点と閉環反応への酵素の寄与について情報が得られた。今後は、実験化学者の方々との共同研究を通じて、その裏付け研究を進めて行く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
生合成経路の理論解析により、当初予定していなかった酵素との相互作用を予見できることがわかってきた。直接、中間体や遷移状態を安定化するアミノ酸残基などが特定できれば、その部分の改変などにより新たな生成物を得ることも可能である。その辺りが理論解析により可能であることを証明しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
酵素の反応制御機構を明らかにするには、酵素-基質複合体の情報が必須である。そこで、各セスタテルペン環化酵素のホモロジーモデルを構築する。さらに、理論計算により取得した中間体・遷移状態構造とのドッキングシミュレーション、ならびに構造最適化に着手する。理論計算により構築した酵素-基質複合体の酵素活性部位の全てのアミノ酸残基と基質に対して電荷解析・軌道解析を行うことにより、酵素-基質間の相互作用の大きさを定量化し、閉環反応に関与しているアミノ酸残基を特定する。また、理論計算での予測を実証するための変異体酵素の構築・機能解析にも着手し、実験科学の面からも閉環反応に必須であるアミノ酸残基の特定を進める。最後に、実験・理論計算両面からのアプローチにより得られた知見に基づく合理的な酵素機能の改変を行い、酵素触媒機能の拡張・新規セスタテルペン骨格の創出への展開をはかる。新規生成物の構造決定に関しては困難が予想されるため、NMR、CD などの各種スペクトル計算によりサポートする。
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Research Products
(18 results)
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[Book] 薬学研究2017
Author(s)
日本薬学会
Total Pages
170
Publisher
東京化学同人
ISBN
9784807917228