2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of reaction mechanism of nonribosomal peptide synthetase.
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
17H05432
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝山 陽平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (50646437)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非リボソームペプチド合成酵素 / ヘテロ環化 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
非リボソームペプチドの一つであるJBIR-34, -35の生合成を担う非リボソームペプチド合成酵素 (NRPS) FmoA3のX線結晶構造解析に取り組んだ。FmoA3はヘテロ環化 (Cy) ドメイン、アデニル化 (A) ドメイン、輸送タンパク質 (CP)、3つのドメインからなるNRPSである。FmoA3単独の構造、AMP-PNPとの複合体の構造、alpha-mehtylseryl-AMPとの複合体の構造、3つの状態の構造を明らかにすることに成功した。NRPSはペプチド結合を形成する反応を触媒する過程において、ダイナミックに構造を変えることが明らかとなっている。そのため、複数の状態のタンパク質の構造解析に成功したことは極めて重要である。この構造解析の結果から、ヘテロ環化ドメインとAドメインのN末端側は強固な構造を取っているが、AドメインのC末端側からCPドメインにかけては柔軟な構造を取っていることが示唆された。また、このX線結晶構造解析と部位特異的変異導入の解析結果から、FmoA3がalpha-methylserineという特異なアミノ酸を認識する機構の一端が明らかとなった。また、非リボソームペプチド合成酵素のさらなる解析には中間体との複合体のX線結晶構造解析が必要になると考えられる。そこで、FmoA3に結合すべき中間体 (ジペプチド) の合成を試みた。その結果、ジペプチドの合成に成功した。また、ビアコアを用いてNRPS間の相互作用の検出を試みた結果、ビアコアを用いてNRPS間の相互作用を定量的に評価できる可能性が示唆された。これらの結果は次年度の研究において極めて重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FmoA3のX線結晶構造解析を試みた。 3つのドメインを持つFmoA3のN末にヘキサヒスチジンタグを、C末端にStrepタグをつけた組換えタンパク質を大腸菌を用いて調製し、Niアフィニティーとストレプトタクチンアフィニティーを用いて精製した。これを結晶化スクリーニングにかけたところ、良質な結晶が得られた。さらにX線回折実験を行ったところ3.2オングストローム程度の分解能のデータが得られた。このデータを元に構造解析および分子置換を行なった結果、FmoA3の全体構造を明らかにすることに成功した。その後、さらに結晶化条件を最適化した結果、最大2.4オングストロームの分解能の解析データを得ることに成功した。ついで、ATPのアナログである、AMP-PNPとの共結晶の構造をソーキングにより明らかにすることを試みた。その結果、AMP-PNPとの複合体の構造を約3.1オングストロームの分解能でとくことに成功した。次にalpha-methylseryl-AMPとの複合体の構造解析を試みた。精製したFmoA3をalpha-methylserineとATPと反応させ、得られた反応液を用いて結晶化スクリーニングを行なった。その結果、一つの条件で良質な結晶が得られた。次にこの結晶を用いてX線回折実験を行なった結果、alpha-methylserineとの複合体の構造を役3.3オングストロームの分解能でとくことに成功した。得られた情報を元に部位特異的変異導入を行い、alpha-methylserine認識機構を明らかとした。また、同時にFmoA3の生合成するペプチドの中間体の合成を東北大学との共同研究により行なった。その結果、中間体の合成に成功した。ビアコアやiTCを利用してNRPSの間の相互作用を検出できるか調べた結果、ビアコアを用いることでNRPS間の相互作用の評価が可能であることを示唆した。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した基質をFmoA3に共有結合させ、タンパク質をまず調製する。酵素濃度や基質濃度などを検討し、最適な条件を見つける。ついで、これらのタンパク質を精製し、さらに結晶化スクリーニングにかける。得られた結晶を用いて、X線結晶構造解析を行い、その構造を明らかにする。また、さらに部位特異的変異導入を行い、NRPSの触媒メカニズムに関する知見をえる。 また、同時にNRPS間の相互作用の定量化を試みる。FmoA2, FmoA3, PgpA2, PgpA3間の相互作用をまず、ビアコアにより評価する。ついで、これらのキメラタンパク質を調製し同様に相互作用を評価する。これにより、NRPS間の相互作用にNRPSのどの部位が特に重要かを明らかとする。 平衡してFmoA3のN末端とC末端にそれぞれ、CFPもしくはYFPを融合した組換えタンパク質の取得を試みる。このタンパク質を用い、FLETによる解析を行い、これらのタンパク質ないのN末端とC末端の位置関係を解析する。また、これらに基質を投与した場合、上流と下流の反応を担うNRPSを添加した場合FLET強度がどのように変化をするか観察し、NRPSの構造変化と触媒反応の関係性を調べる。
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