2017 Fiscal Year Annual Research Report
植物由来新規ポリケタイド閉環酵素の探索と物質生産
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
17H05435
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
森田 洋行 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (20416663)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生合成 / 酵素工学 / X線結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
アサ由来オリベトール酸閉環酵素(OAC)は、Ⅲ型ポリケタイド合成酵素(PKS)が生産したポリケタイドCoAを基質する現状唯一の酵素である。OACが、様々なアシル-β-ケタイドCoAを基質とすることができれば,新規化合物を生産できる可能性がある。本年度は、キダチアロエ由来のⅢ型ポリケタイド合成酵素(PKS)であるオクタケタイド合成酵素(OKS)がシンナモイルCoAや脂肪族CoAとマロニルCoAから生産するアシル-β-ケタイドCoAを、OACが基質として受容し、新たな化合物を生産できるかを評価した。その結果、OKSがヘキサノイルCoAと6分子のマロニルCoAから生産した直鎖状ペンチルヘプタ-β-ケタイドCoAをOACが基質とし,さらに,OKSとは異なる閉環反応をOACが触媒することによって生産されたと考察できる新規化合物5-ペンチルアロエソンを生産できることを明らかにした。アロエソンは、キダチアロエ等が生産する抗炎症成分であり、本新規化合物の抗炎症活性にも興味が持たれるところである。しかし、今回の解析では、OACはペンチル基よりも短いもしくは長いアシル基を有するポリケタイドCoAや芳香族を有するポリケタイドCoAを基質とすることは確認できなかった。現在、さらに詳細にOACの酵素反応生成物を検討しているところである。 一方、今年度は、OACのホモログ酵素と目される植物由来AtHS1及びPOP-3のポリケタイド閉環酵素としての機能について検討した。その結果,トウゲシバ由来Ⅲ型PKSであるHsPKS1が、シンナモイルCoAやジヒドロシンナモイルCoAとマロニルCoAから生産するアシルポリケタイドCoAを、OACが基質として未知化合物を生産する可能性が示された。現在、これらの未知化合物の構造決定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、OACを用いた新規化合物の創出と、AtHS1とPOP-3のポリケタイド閉環酵素としての機能について評価することを目標にしていた。AtHS1やPOP-3の反応生成物中に確認された未知化合物の化学構造の決定までには至っていないものの、OACが新規化合物5-ペンチルアロエソンを生産できることを明らかにしていることから、総合的に考えて、概ね計画通りに進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
OACにペンチルヘプタ-β-ケタイドCoA以外の基質を作用させた場合の酵素反応生成物について、さらに詳細に解析を行う。また、AtHS1やPOP-3の酵素反応条件の最適化を進め、それらの反応生成物中に見いだした未知化合物の化学構造を決定することを目指す。
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Research Products
(9 results)