2017 Fiscal Year Annual Research Report
ラダラン脂質の高歪み骨格を構築する生合成マシナリーの構造基盤の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
17H05444
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
永野 真吾 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (60286440)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生合成 / 脂質 / アナモックス / 窒素代謝 / 結晶構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィトエン不飽和化酵素の発現ベクターを昨年度作成し、発現に用いる大腸菌株のスクリーニングを行い一部不溶性画分に発現が見られたが、可溶性画分への発現がほとんど見られなかった。そこで発現タンパク質の可溶性を向上させるためマルトース結合タンパク質(MBP)またはユビキチン様タンパク質(SUMO)を融合させた酵素として発現条件の検討を行ったが、いずれの場合も可溶性酵素として発現させることができなかった。
ラジカルSAM酵素については、補因子を含まないアポ型の高純度精製条件を確立し、ホロ型酵素の結晶化スクリーニングを行い複数の条件で単結晶を得ることができた。このホロ型酵素の単結晶から最高分解能3.3オングストロームの回折を確認することができた。また、鉄-硫黄クラスターの再構成を行い紫外可視吸収スペクトルから、鉄-硫黄クラスターを確認することができた。さらにこの試料のEPRスペクトルを測定し、鉄-硫黄クラスターの再構成で起こりうる3Fe4S型ではなく、4Fe4S型の鉄-硫黄クラスターが再構成されたことを確認した。
アナモックス菌は極めて増殖が遅く、ラダラン脂質の生合成を阻害すると期待される化合物は高価なものが多い。そこで並行して条件検討を検討するため、アナモックス菌を培養する小型リアクターを3基作成した。フィトエン不飽和化酵素の阻害剤を添加して1か月ほどアナモックス菌を培養し、総脂質を分析したところ、阻害剤を加えない条件で培養したアナモックス菌の総脂質には見られない化合物が複数検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラダラン脂質生合成の鍵酵素と推定されているラジカルSAM酵素の結晶化に成功している。また、この酵素の鉄-硫黄クラスターを再構成しホロ型酵素を調製する方法も確立しているため、今後のホロ型酵素の結晶構造解析に大いに期待が持てる。さらに、当初の研究計画通り阻害剤を添加したアナモックス菌の培養にも着手しており、中間体の同定が期待されるデータが得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
フィトエン不飽和化酵素の大腸菌を用いた発現では、不溶性画分にのみ発現している。K. stuttgartiensis由来のフィトエン不飽和化酵素を大量に可溶性酵素として発現させた実績があるベクターを用いて大量発現条件を確立する必要がある。 ラジカルSAM酵素のアポ型の結晶が得られているが、高分解能の回折を得るためにはホロ型酵素の結晶化が必須であるので、嫌気条件での鉄-硫黄クラスターの再構成と高純度精製の手法の確立が求められる。 今年度作成したアナモックス菌の培養を行う小型リアクターでは、菌の流出を防ぐために設置したフィルターの目詰まりが顕著であり、増殖速度を高めることが難しい。これを解決するため、大型のフィルターで排出液を濾過するリアクターの作成が必要である。
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