2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanistic study and biosynthetic redesign of silent secondary metabolites produced by rational modification of metabolic pathway
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
17H05446
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
荒川 賢治 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (80346527)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 二次代謝産物 / アゾキシアルケン / ポリケチド / 生合成 / クオラムセンシング / ゲノムマイニング / キノプロテインデヒドロゲナーゼ / P450 |
Outline of Annual Research Achievements |
放線菌は、多種多様な二次代謝産物を生産する土壌微生物である。1菌株あたり30種類もの二次代謝生合成遺伝子クラスターを有していることが判明し、ゲノムマイニングによる新たな天然物の探索が盛んに進められている。我々の研究題材であるStreptomyces rochei 7434AN4株は、2つのポリケチド抗生物質ランカサイジンおよびランカマイシンを生産し、さらに制御遺伝子改変などの代謝フロー改変によりアゾキシアルケン化合物KA57-Aやポリケチド化合物ペンタマイシン、シトレオジオールなど、休眠二次代謝の覚醒に成功した。本課題では放線菌二次代謝制御系および代謝経路の合理的改変により取得した休眠二次代謝産物に注目し、特異な分子骨格形成機構の先導的解明を中心とし、平成29年度は以下の研究課題を実施した。 (1) アゾキシアルケン化合物の生合成マシナリーの先導的解明 KA57-A生合成遺伝子(azx)クラスターの同定を行うにあたり、同じ炭化水素鎖長を有するマニワマイシンに注目し、生産菌Streptomyces sp. TOHO-M025株から該当生合成遺伝子(mwm)を取得した。両者および既知のバラニマイシン生合成遺伝子(vlm)クラスターを比較して、生合成遺伝子群の絞り込みを行なった。現段階ではアゾキシ基形成に関与する遺伝子の特定には至っていないが、共通因子の遺伝子破壊実験を遂行している。また、KA57-Aのキナーゼ遺伝子破壊株は、KA57-Aを生産せず、 本遺伝子の生合成への関与が示唆された。 (2) ポリケチド合成酵素の機能同定および高機能ハイブリッド抗生物質の創製 ゲノムマイニングにて取得したC10の直鎖化合物シトレオジオールの生合成遺伝子について、C-メチル基転移酵素を指標に探索し、該当クラスターを3つにまで絞り込んだ。また同時に該当遺伝子群を含むBACライブラリーを形質転換した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)において、KA57-A生合成に必要不可欠なクラスターの特定に成功した。また我々は、KA57-Aと同様にヘキセニルアミン側鎖を有するマニワマイシン生合成遺伝子クラスターの次世代シークエンス解析も行い、バラニマイシン、KA57-Aとの共通ORFを抽出できた。共通因子には機能未知ORFが多いことから、KA57-Aおよびマニワマイシン生合成クラスター両者において遺伝子破壊実験を遂行している。 (2)において、本年度は28員環ポリエン化合物ペンタマイシンの生合成クラスター(pem)は染色体上にあることが示唆され、3つ存在するP450水酸化酵素の遺伝子破壊実験により確認した。シトレオジオールの生合成遺伝子について、該当クラスターを3つにまで絞り込み、さらにそのうちpem近傍にあるクラスターに注目し、遺伝子破壊株(NY01株)を構築したところ、本化合物の生産が失われ、生合成への関与が強く示唆された。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1) アゾキシアルケン化合物の特異なアゾキシ結合形成メカニズムについて、今後は共通因子に絞り込んで網羅的遺伝子破壊実験を行う。さらに、in silico比較解析と酵素変換実験なども組み合わせ、アゾキシ結合形成メカニズムの先駆的解明を目指す。 (2) 上述のNY01株は、シトレオジオールのみならずペンタマイシンの生産も失われていた。直鎖の炭化水素鎖はC-8であり、ペンタマイシンのヘキシルマロニルCoAと一致しており、シトレオジオールのポリケチド鎖が共通利用されている可能性が示唆された。そこで該当基質の重水素標識化合物の構築/取り込みなどを行い、本破壊株の特異代謝プロファイルを解明する。 また、今年度は(1),(2)に加え、関連性の高い以下の2項目も遂行する。 (3) クオラムセンシング阻害活性の向上を目指したアゾキシアルケン化合物の生合成リデザイン:アゾキシアルケン化合物に注目し、炭化水素鎖長の改変や基質汎用性拡大、さらには天然物を凌駕する新規生理活性分子のリデザインを目指す。 (4) 多面発現制御による未同定二次代謝産物の抽出と生合成:休眠二次代謝クラスターの異種発現や転写リプレッサーの遺伝子変異といった多面発現制御を施し、休眠二次代謝活性化の汎用性を検証し、未同定産物の実用的発酵生産を目指す。具体的には、C-P化合物および擬オリゴ糖の遺伝子発現活性化と代謝産物取得を目指す。
|
Research Products
(46 results)