2017 Fiscal Year Annual Research Report
芳香族ポリケタイド生合成の理解・分解・再構築
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
17H05447
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
鮒 信学 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (70361574)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポリケタイド / メラニン |
Outline of Annual Research Achievements |
Dihydroxynaphthalene(DHN)メラニンは、1,8-DHNが酸化的重合した茶褐色の高分子であり、主にカビが生産する。1,8-DHNの生合成酵素群は、真核微生物に特異であると考えられている。しかしながら、粘液細菌Sorangium cellulosum由来のsoceCHS1を含むオペロンの異種発現を行い、このオペロン(bacterial DHN synthaseオペロンと命名)が1,8-DHN合成酵素群であることを我々は明らかにしていた。今回我々は、bdsオペロンのBdsAおよびBdsBの機能解析を行った。 Bds合成酵素の組換えタンパク質を調製し、in vitro反応を行った。SoceCHS1は、malonyl-CoAからT4HNを与えた。BdsAは、NADPH を補酵素としてT4HN、T3HNからそれぞれscytalone、vermeloneを与えた。scytaloneの絶対立体配置は、旋光度よりR体であると決定した。また、scytaloneの光学純度は>99.5%であった。さらに、反応速度論解析の結果、BdsAのKmは95 μMであり、kcatは0.1 sec-1であった。BdsBは、(R)-scytalone、(R)-vermeloneからそれぞれT3HN、1,8-DHNを与えた。反応速度論解析の結果、BdsBのKmは5.5 μMであり、kcatは4.9 sec-1であった。 カビのDHN合成酵素と細菌のBds合成酵素は以下の点で異なる。ポリケタイド合成は、カビではモジュール型のI型PKSであるが、細菌では単独型のIII型PKSである。T4HNの還元反応は、カビのHNRはSDRスーパーファミリー(SF)であり、BdsAはAKR SFであり、両者は全く異なる。Scytaloneの脱水反応は、カビのSDと細菌のBdsBは共にNTF2-like SFである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、水層に存在するCoA中間体の構造決定を可能とする 13C を用いた反応系の構築、西洋オトギリソウ由来 emodin anthrone の合成を担う新規環化酵素の探索を予定したいた。それらは予定通りに進行し、さらに、DHNメラニンの酵素群の解析を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、pentaketide 中間体に作用する放線菌由来の hot-dog fold 型環化酵素の解析をおこなう。申請者は、Streptomyces sp. NRRL S-340株にrppA様配列を含む新奇オペロンを見出した。IG64_RS22470は閉環反応を触媒せず、pentaketide中間体を与える。pentaketide中間体の閉環反応は、環化酵素(IG64_RS22475)によりRppAとは異なる様式で行われる。最終的にIG64_RS22465(既知蛋白と相同性がない68アミノ酸のhypothetical protein)がラクトン化を触媒し、イソクマリン骨格を与える。予備的な実験において、本オペロンを放線菌で発現させたところ、単一の生成物として6,8-dihydroxy-3-methylisocoumarin(isocoumarin)が生産された。つまり、IG64_RS22465および/またはIG64_RS22475の作用によりpentaketide中間体の閉環様式が変化した可能性が高い。IG64_RS22465、70、75のin vitro反応により触媒機能を明らかにする。中間体CoAエステルの構造決定を13C-NMR測定系により行う。予備的な実験の結果、IG64_RS22470の産物、IG64_RS22475の産物の精密分子量解析結果は予想と矛盾しない。IG64_RS22475は世界で初めて見出された独立型のPT様酵素である。
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Research Products
(2 results)