2017 Fiscal Year Annual Research Report
特異な化学構造をもつ海洋産リポペプチドの生合成機構解明に基づく人工誘導体生産
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
17H05450
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
末永 聖武 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60273215)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | リポペプチド / ミンアミドA / 立体化学 / 生合成機構 / 生合成遺伝子 / ゲノムDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
未決定であったミンナミドA脂肪酸部の立体構造決定を行った。ミンナミドAの部分酸加水分解により得られた脂肪酸部を穏やかに酸処理したところ、3位水酸基が脱水してα,β-不飽和エステルが生成し、7位水酸基が1,4-付加して生じたと考えられる環状エーテルが得られた。脂肪酸部にまた1当量の塩化メシルを反応させたところ、15位の水酸基がメシル化され11位水酸基から閉環して生成したと考えられる環状エーテルが得られた。両者について、1H NMRの結合定数とNOESY相関の解析により、2個の2級メチル基の立体化学を決定した。残る9位メチル基を決定するため、脂肪酸部の9位に関する可能な2種のジアステレオマーの合成を行っている。 ミンナミドを産生するシアノバクテリアOkeania hirsutaの実験室における培養を検討するため必要な生のシアノバクテリアを採集するため、これまでに沖縄県水納島へ2回出かけたが、目的のシアノバクテリアを見つけることができなかった。 また、同じユレモ科のシアノバクテリア (Moorea bouillonii)を用いて、ゲノム抽出法の検討を行った。液体窒素下、凍結粉砕処理をすることで鞘と藻体をある程度分離することができ、抽出操作中に遠心操作を複数回組み入れることで、鞘をペレットとして除去できることを見出した。得られた gDNA に対し、universal primer を用いた 16S rDNA 領域の PCR による増幅と、つづくシークエンシング、 BLAST 解析を行った結果、本手法によって得られた gDNA が Moorea bouillonii 由来のものであることを支持する結果を得た。今後、Okeania hirsutaについてgDNA抽出を行ない、質および量ともに十分なgDNAが得られたら、次世代シークエンサーによる網羅的配列解析を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミンナミドを産生するシアノバクテリアOkeania hirsutaを採集することができず、培養が検討できていない。現在保管してあるサンプルが少量であるため、同じユレモ科のシアノバクテリアでゲノムDNAの抽出法を検討していた。方法は確立したので、Okeania hirsutaのゲノム抽出を行い、配列解析と生合成遺伝子の探索を進めていく。
|
Strategy for Future Research Activity |
ミンナミドAの未決定の1個のメチル基の立体化学は可能な2種のジアステレオマーを合成し、早急に決定する。シアノバクテリアのゲノム抽出法は確立できたので、これを保管してあったOkeania hirsutaに適用し、次世代シークエンサーによる網羅的配列解析と生合成遺伝子の探索を進めていく。また、他の生物活性物質を産生するシアノバクテリアのゲノム抽出と配列解析についても検討したい。
|