2017 Fiscal Year Annual Research Report
合成生物学における耐性・輸送工学を用いた効率的なアルカロイド分泌生産系の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
17H05453
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
士反 伸和 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (20547880)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 合成生物学 / トランスポーター / アルカロイド / 輸送工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物における二次代謝産物の生産とは、生合成酵素による「代謝」に加えて、潜在的に毒性である代謝産物への細胞質での「耐性」、細胞質からの隔離である液胞や細胞外への「輸送」、の3者から成り立つ。我々は、これらが協調する重要性に着目し、アルカロイド生産における耐性や輸送の分子実体を解明してきた。 本研究では、これら耐性・輸送の成果を発展させることを目的に、微生物を用いた合成生物学において、耐性・輸送の分子実体を導入することで、大量生産系構築のための基礎的知見を得ることを目指している。微生物としては、グルコースからレチクリン(ベンジルイソキノリンアルカロイドの生合成中間体)を生産する大腸菌、またレチクリンからスチロピンを生産する酵母を材料とし、アルカロイド耐性付与タンパク質やアルカロイド輸送体を共に発現させることを目指す。 本年度は、耐性としてCjGolS、アルカロイドの輸送体としてNtJAT1、AtDTX1、CjMATE1、CJABCB1、HsMDR1を用いることとし、それぞれについてベクター構築を進めた。特に有効性の期待されるNtJAT1、CjMATE1、HsMDR1については、酵母に遺伝子を最適化したものも作成することとした。大腸菌としてpCOLADuet1、酵母としてpPIC3.5Kをベクターとして選択し、それぞれベクター構築を完成させた。また、レチクリン生産性大腸菌についてはコンピテントセルを作成しヒートショック法により形質転換を、スチロピン生産性酵母についてはエレクトロポレーション法により形質転換を順次進め、いくつかについては形質転換体を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベクター構築、形質転換まで進んでおり、今後にアルカロイド生産性の解析などを進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
残っているベクターの形質転換を進めていく。得られた形質転換体について、実際に輸送体などを過剰発現する菌体をウェスタン解析により選抜する。輸送体などを導入しないコントロール菌株と、これら耐性や輸送体の形質転換体を、誘導物質(IPTGまたはメタノール)および基質(グルコースまたはレチクリン)を添加した液体培地で生育させ、0、2、4、8、12時間と1、2、3日目で、OD600を指標に菌の生育を評価するとともに、細胞および培地をサンプリングする。細胞からレチクリン(大腸菌)やスチロピン(酵母)を抽出するとともに、培地中の化合物についてもSeq-pakを用いて回収・抽出する。これら抽出液について、UPLCおよびLC-MSを用いてそれぞれ標品とともに定量する。耐性や輸送体を発現させた菌における生育、産物の総生産量、培地への放出割合を評価し、より生産を高効率とさせる耐性・輸送体を見出す。
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Research Products
(3 results)