2017 Fiscal Year Annual Research Report
Reverse-evolved host microorganisms for biosynthetic system
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Complex Functional Molecules by Rational Redesign of Biosynthetic Machineries |
Project/Area Number |
17H05457
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
北川 航 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (60415669)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | Rhodococcus / P450 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では生合成リデザインに利用可能なP450ライブラリの構築を行っている。この構築にあたり、遺伝資源となるDNAとその塩基配列情報が必要となる。このためまず菌株保存機関で入手可能な株でゲノムが公開されている物を選択し、菌株・ゲノム情報を取得し、プライマー設計・クローニング・ロドコッカス宿主への導入を進めた。しかし『入手可能でゲノムが公開されている』株には限りがあり、ライブラリ拡充の最大の障害となる事が明らかになった。より効果的・経済的なDNA・配列情報入手のため新たな手法が必要と判断し、メタゲノムを用いる方法を計画した。P450を多数持つバクテリアは放線菌であるため、放線菌が多数存在する環境のメタゲノムを用いる事が望ましいが、今回は4種の海綿を遺伝子資源として使用した。海綿には多数多様な共生微生物が存在し、放線菌に限らず物質生産性の高い微生物が多いとされており、P450源として適していると考えている。まず16S rRNA遺伝子を基にした海綿微生物の菌叢解析を行なった。しかしP450 を多く持つことが知られるStreptomyces, Mycobacterium, Nocardiaなどはほとんど見いだされなかった。次にこれらのサンプルを寒天培地に植菌し、生育したコロニーの系統解析を行ったところ、約半数がMycobacterium, Nocardiaなどであった。海綿微生物が培養によらない菌叢解析とクローン解析では大きな隔たりがある事があらためて示されたが、P450遺伝子の取得を目的とした微生物分離源としては良いサンプルであると判断した。取得したこれらの放線菌を混合した疑似メタゲノムの解析およびP450クローニングを現在進行中である。 宿主として用いる逆進化ゲノム株はv1-v11のうち、v8が現在のところ最も適した株であったため、これを更に改良するためのゲノム設計を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ライブラリの構築はデータベース・菌株保存機関から入手出来る物を進め、既に2年間終了時の目標の6割を構築することに成功している。その他自身で取得した菌株やメタゲノム解析などの情報を用いることで十分に目標の達成は可能であると考えている。また逆進化宿主株のキャラクタリゼーションも進み、新たな進化・ゲノム再構築の方向性が定まっており、進捗状況は概ね計画通りである。
|
Strategy for Future Research Activity |
P450ライブラリの構築を進めると共に、スクリーニング系の構築を行う。ロドコッカスのライブラリーに既知のP450の基質を反応させて、精製物をHPLCで検出出来る事を確認する。この過程で新規のP450が既知の基質に反応した場合も確認出来るはずである。また逆進化ゲノム株については逆進化v8株からある遺伝子削除を行った場合に激しい細胞凝集(バイオフィルム形成)が起こることが確認されている。このためv8株からこの遺伝子を削除せずに次のDNA領域の削除を行い、v8株から派生した新たなラインの逆進化ゲノム株のシリーズを構築し、最適化を図る。また逆進化構築に用いていない別のロドコッカス株において確認された宿主として優れた形質をv8株に移植するため、バイオインフォマティックスを駆使した詳細なゲノム解析を行う。これらの作業により構築した逆進化株を遺伝子発現、ライブラリー作製に応用する。
|