2017 Fiscal Year Annual Research Report
Efficient collection of exosome by optical pressure and its application to early cancer diagnosis
Publicly Offered Research
Project Area | Nano-Material Manipulation and Structural Order Control with Optical Forces |
Project/Area Number |
17H05465
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金田 隆 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20243909)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光圧 / エクソソーム / リポソーム / 金ナノ粒子 / がん診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レーザー光によって発生ずる光圧を利用して、細胞から放出される小胞であるエクソソームを捕集、計測法するための新しい手法を開発し、その方法をがんの早期診断法に展開することを目的としている。平成29年度には、脂質二分子膜から成る1マイクロメートル、並びに100ナノメートルのリポソームをモデル小胞として用い、これを光圧によりガラス基板上に捕集することを試みた。その結果、リポソーム周囲の媒体としてリン酸緩衝溶液を用いることが、リポソームのガラス基板への捕集において重要な因子であることを明らかにした。さらに、捕集効率を向上させるために、溶液に金ナノ粒子を添加する方法を検討し、金ナノ粒子が捕集効率を顕著に向上させることを発見した。金ナノ粒子を共存させて捕集した場合、金ナノ粒子がない場合に比べて10倍以上迅速な捕集が可能であることを見出した。金ナノ粒子を添加した場合、この捕集効率向上の機構は、(1)金ナノ粒子の光吸収に起因する温度上昇に伴う溶液の対流発生、(2)金ナノ粒子が光により加速され、それが小胞と衝突することによる小胞の加速、(3)金ナノ粒子が小胞に吸着することによる小胞表面での光散乱効率の向上によるものであると予想された。しかしながら、現段階では、金ナノ粒子共存下でのリポソームに対する散乱力の増加は確認できていない。そこで、この機構を解明するためには、リポソームと金ナノ粒子を結合させた際のリポソームに働く散乱力を計測する必要があることがわかった。今後、この機構の解明に取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光圧による小胞の捕集に成功し、金ナノ粒子を添加することで捕集効率を向上させることに成功した。また、研究成果を査読付きの学術論文誌に発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに100 nmのリポソームやエクソソームが捕集できることを明らかにした。また、金ナノ粒子を共存させることで捕集効率が向上することを発見した。そこで、まず、金ナノ粒子による捕集効率向上の機構を解明する。金ナノ粒子存在下でのリポソームの加速速度の変化、金ナノ粒子自身が受ける光圧の測定、並びに金ナノ粒子とリポソームを化学的に結合させた際のリポソームの光圧による加速現象を追跡し、上記三つの効果がどのように捕集効率向上に寄与しているのかを明らかにする。方法は以下の通りである。キャピラリーの一端にリポソームの懸濁液を置き、キャピラリー内にレーザー光を集光して導入する。このときレーザーにより加速されたリポソームはキャピラリー内に侵入する。この様子をCCDカメラにより観察する。リポソームに働く光圧の大きさはリポソームの進行速度から見積もることができるはずである。したがって、金ナノ粒子の存在下や金ナノ粒子を結合させた場合の速度を測定し、金ナノ粒子がエクソソームに働く光圧にどのような効果をもたらすのかを明らかにする。さらに、実際に細胞から放出されたエクソソームを光圧により捕集し、その化学成分を計測するための手法について検討する。電気泳動法に基づくエクソソームの化学計測法について検討するとともに、エクソソームに含まれるテトラスパニン系タンパク質やRNAを計測する方法を開発し、細胞種に依存したマーカー分子の探索を目指す。最終的にこれらの方法を利用し、がん診断法への応用に取り組む。
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Research Products
(13 results)