2017 Fiscal Year Annual Research Report
構造揺らぎと伝導電子の相互作用による新機能の創出
Publicly Offered Research
Project Area | Synthesis of Mixed Anion Compounds toward Novel Functionalities |
Project/Area Number |
17H05487
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
石井 悠衣 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50708013)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 複合アニオン化 / 構造揺らぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、充填トリジマイト型酸化物BaAl2O4が、酸素四面体の骨格構造が集団的に振動する特殊な格子振動モードを持つことをこれまでに明らかにしてきた。本研究では、本系が示す特殊な格子振動状態と伝導電子が絡んだ新しい電気伝導現象を示す新物質合成を行うことを目指し、複合アニオン化による電子状態の制御を行っている。本年度は特定のOサイトのヒドリド置換、またカチオン組成の制御も含めた窒素置換を試みた。 CaH2を用いてBaAl2O4に対してヒドリド置換を試みたところ、試料が無色から黒色へ変化したが、構造解析の結果、格子定数や原子位置の変化は見られなかった。質量分析の結果H2は検出されず、結晶中にヒドリドは取り込まれていないことが分かった。 さらに、BaAl2O4と同構造を高温相にもち、構造揺らぎが期待できるBaFe2O4に注目し、電子状態制御を試みた結果、BaサイトをLaで数%まで置換できることがわかった。現在、さらにOサイトをNで共置換することによる電子状態制御を試みている。また、充填トリジマイト型類似構造をもつBaSrFe4O8に注目した。本系は、放射光を用いた構造精密化がこれまで行われていないため、放射光粉末構造解析を行ったところ、低温相において酸素四面体の頂点酸素の温度因子が非常に大きく、潜在的にBaAl2O4系と同様の構造不安定性を持つことが示唆された。一方で高温相がq=0.43の変調構造を持つことが明らかになった。高分解能TEMおよび放射光粉末構造解析の結果を合わせると、この変調構造がBaとO原子の変位に起因していることがわかった。今後は、引き続きこれらを対象物質とし、複合アニオン化を利用した電子状態制御を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までには、当初目的としていた、特殊な格子振動状態をもつ充填トリジマイト系に、キャリアドープを実現するにはまだ至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、様々な手法を用い、本系における電気伝導性の発現を目指す。
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Research Products
(12 results)