2017 Fiscal Year Annual Research Report
全固体電池にむけたリチウムイオン伝導性硫窒化物の創成
Publicly Offered Research
Project Area | Synthesis of Mixed Anion Compounds toward Novel Functionalities |
Project/Area Number |
17H05488
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
林 晃敏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10364027)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 硫窒化物 / 固体電解質 / 複合アニオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複合アニオン系固体電解質として、リチウムイオンを高濃度に含む硫窒化物ガラスおよびガラスセラミックスの材料探索を行っている。硫窒化物電解質の諸物性と構造の相関を明らかにし、全固体電池への応用に適した固体電解質の設計指針の獲得を目的としている。 本年度はメカノケミカル法を用いてLi2S-P2S5-Li3N系電解質の組成探索を行い、室温で10-3 S cm-1以上の導電率と優れた大気安定性を両立するガラスセラミックスを見出した。ガラスセラミックス中には新規結晶相が析出しており、本新学術領域の他機関のメンバーと連携しながら、固体NMRやXANES、中性子回折測定を行い、現在、結晶構造解析を進めている。また、出発原料の純度が電解質の物性に影響を与えることが知られている。そこで、リチウム金属箔と高純度N2ガスを反応させることによって、高品位Li3Nの作製プロセスを確立した。 新規の硫窒化物のベース組成として、メカノケミカル法を用いてLi3SbS4ガラスおよびガラスセラミックスを作製した。ラマン分光の結果から、作製した試料は主にSbS4ユニットから構成されていることがわかった。粉末成形体の室温導電率は、ガラスで1.5 × 10-6 S cm-1であり、ガラスセラミックスでは導電率が低下することがわかった。また大気安定性の評価として、相対湿度70%の大気にさらした際のH2Sガスの発生量を測定した。Li3SbS4ガラスは、電解質として代表的に用いられているLi3PS4ガラスと比べて、H2Sガスの発生量が少なく、より高い大気安定性を示すことが明らかになった。 また、硫窒化物電解質の開発に加えて、複合アニオン系酸化物ベースの固体電解質や長残光蛍光体についても、他機関メンバーと共同で研究を進めている状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Li2S-P2S5-Li3N系電解質の組成探索を行い、導電率と大気安定性を両立する硫窒化物電解質をすでに見出しており、研究はおおむね順調に進展している。このガラスセラミックス中には新規結晶相が析出しており、この結晶構造の解明が、より一層の特性向上にむけた指針を得る上で重要となる。そこで、本新学術領域の他機関のメンバーとも連携しながら、様々な構造解析手法を適用しながら、ガラスセラミックスの詳細な構造解析に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な構造解析手法を用いて、イオン伝導に有利な新規結晶の構造を明らかにする。また、メカノケミカル法による硫窒化物の作製を行うための固体窒素源を探索するとともに、反応プロセスについて検討する。硫窒化物以外の様々な複合アニオン化合物についても、他機関のメンバーと密に協力しながら、新物質探索・機能発現・構造解明に取り組む予定にしている。
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Research Products
(4 results)