2017 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis and crystal-structural chemistry of anion-nonstoichiometric oxyhydroxides
Publicly Offered Research
Project Area | Synthesis of Mixed Anion Compounds toward Novel Functionalities |
Project/Area Number |
17H05490
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
本橋 輝樹 神奈川大学, 工学部, 教授 (00323840)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | セラミックス / 酸水酸化物 / アニオン不定比性 / 結晶構造化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複合アニオン化合物として酸化物 (O2-) と水酸化物 (OH-) が共存する酸水酸化物 (oxyhydroxides) に着目する。従来研究ではほとんど調べられてこなかったアニオン不定比性のある酸水酸化物について、結晶構造化学の構築・機能性材料の創出を目指し、次の4項目を目標とする。(1) O2-/OH- 比の制御に基づく精密合成法の確立。(2) 熱重量 (TG)・ガス分析 (GC) を駆使した化学組成分析。(3) 両アニオンの配置を議論するための精密な結晶構造解析。(4) イオン伝導性、電極触媒活性など機能性の開拓。上記の研究を通じて、複合アニオン系機能性材料のメンバーとしての酸水酸化物の地位を確立する。 今年度は、酸素欠損型ペロブスカイトBa(ZnxNb1-x)O3-dや層状ペロブスカイトBa5Nb4O15から派生した酸水酸化物について、試料合成(強アルカリ水溶液中での水熱合成や水蒸気下でのポストアニール処理を含む)ならびに結晶構造・化学組成分析を行った。上記の研究目標に向けて、実験装置の整備や分析手法の開発を進めている。酸水酸化物合成のための焼成装置を導入し、高濃度水蒸気下でNb酸化物試料をアニールすることにより、高水酸化物化した試料の合成に成功した。また、OH-イオン定量のための熱重量・ガス組成同時分析(TG-GC)法を開発し、Ba-Zn-Nb酸水酸化物のアニオン組成を決定した。また、他グループとの共同研究を開始し、赤外分光法による水酸化物イオン(プロトン)の化学結合状態を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験装置の整備や分析手法の開発が順調に進捗している。酸水酸化物の研究では結晶構造中の水酸化物イオン(OH-)の含有量制御と定量分析が必須であるが、昨年度(H29年度)の研究によりこれらの設備がほぼ整い、今後の研究により有力な知見が得られることが期待できる。得られた成果について、順次投稿論文にまとめて公開する予定である。 また、当該領域の合同会議やシンポジウムを通じて他グループとの共同研究を幾つか発足することができた。本年度(H30年度)は、互いの特長を活かして「新学術」の確立を目指した研究を推進する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度(H29年度)の実験を発展させ、以下の実験項目に着手する。 ・アニオン不定比性酸水酸化物の精密合成:O2-/OH- アニオン比を精密かつ幅広く制御した酸水酸化物を合成する。通常の合成法に加え、水蒸気アニール用焼成装置やオートクレーブを駆使して高OH-含有量の試料作製を図る。 ・アニオン不定比性酸水酸化物のキャラクタリゼーション:得られた酸水酸化物について、化学組成ならびに化学結合状態の精密分析を実施する。独自開発の「TG-GC」による酸水酸化物のO2-/OH-アニオン組成の定量や、赤外分光法による水酸化物イオン(プロトン)の化学結合状態を調べる。 ・酸水酸化物における機能性開拓:400-500℃の中温域でのプロトン伝導性や、アルカリ電解液中での酸素還元反応 (ORR)・酸素発生反応 (OER) 触媒活性を調べる。これらの機能性を向上させるための材料テーラリングを実施し、燃料電池・金属空気電池・水電解などエネルギー応用への展開を検討する。
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