2017 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死を起点とするダイイングコード授受の1細胞実時間イメージングと遺伝子発現解析
Publicly Offered Research
Project Area | Homeostatic Regulation by Various Types of Cell Death |
Project/Area Number |
17H05496
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白崎 善隆 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 客員共同研究員 (70469948)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞死 / 1細胞解析 / 細胞分泌 / ライブセルイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
高等生物は個体レベルの発生及び生存のために生命最小単位としては負の結末である細胞死を利用する戦略を有しているようである。特に細菌やウイルス、寄生虫等の感染を排除するために炎症等の免疫応答を誘起する”制御された細胞死“は、周辺細胞に積極的に自身の死を伝達する分子”ダイイングコード”を産生することが多い。産生されたダイイングコードはどのように周囲の細胞に伝搬するのか?を明らかにすることは、細胞死を起点とする生体応答カスケードの動的様相の解明には必要である。 上記の背景を受け、本研究は細胞死を起点とする生体制御ネットワークを媒体するダイイングコードの放出動態を1細胞レベルで実時間計測する。これにより、詳細が未知であるダイイングコードの放出メカニズムや細胞死制御機構との時相関および細胞間のばらつきに関する定量的情報を提供する。さらに、ダイイングコード放出前後の細胞に対して選択的な回収を行い、細胞死過程の細胞遺伝子発現を明らかにすることを目指す。 本年度は、ダイイングコードのひとつであるHMGB1がネクロプトーシスに伴って放出される様相を1~2.5分の時間分解能で1細胞毎に観測し、一過性および徐放性の放出の存在が示された。ILC2のダイイングコードIL-33応答性においては、過渡的刺激に対して、過渡的な分泌応答を示すことが示唆された。生きた細胞からのIL-1β産生の有無について、パイトローシスにおける膜開孔実行因子であるDsdmdのノックアウト細胞における検討を行い、パイロトーシス以外の細胞死がIL-1β産生に寄与することがわかった。また、他の共同研究からもIL-1βは成熟・未成熟の違いはあるが、多様な制御された細胞死において放出されることが明らかになりつつある。 また、本年度は、細胞死に伴う遺伝子発現を解析するために、細胞死を呈した細胞を迅速に回収するためのシステム構築に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、領域内共同研究を3件、海外との共同研究を1件行い、それぞれ良好にダイイングコードのイメージングを達成している。また、ILC2のIL-33応答においては、マイクロ流体の観点から過渡的刺激の実験系を構築し、良好な結果が見られている。 一方で、生きた細胞からのIL-1β放出を株化マクロファージ細胞で再現を試みたが、安定的に見られる条件が未だ見つかっていない。一方で、生きた細胞からのIL-1β放出の報告が本年度報告された。来年度は、報告された条件を参考に実験を行う。また、CAPSにおけるIL-1βの解析は1細胞回収装置の自動化が望まれ、これの完成を待って行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては、現在進行している領域内共同研究を推進する。また、ILC2におけるIL-33に対する過渡的応答についての詳細を、刺激時間や繰り返し応答性について着目して研究を進める。 生きた細胞からのIL-1β放出については、先行論文を参考に刺激等の条件を揃えて、実際に細胞が生きたままIL-1βを放出しているのかを直接的に観測することで確認する。 また、本年度は実時間1細胞回収装置の自動化を重点的に進める。CAPS患者が有するCIAS1遺伝子変異はヘテロであり、RNAレベルでは正常なものと変異が入ったものが共存すると考えられるが、NLRP3は7量体でインフラマソーム核を形成すると言われている。よって、NLRP3の正常/異常の比率がCAPS患者単球のパイロトーシス自発的活性化に関係するのではないかと考えた。これまでの検討でヘテロ遺伝子変異を持つCAPS患者ではLPS刺激時には一部の単球しかIL-1βを放出していない(1割弱)。本研究は、ヘテロ変異CAPS患者単球が有する変異/正常NLRP3タンパク質の量比がRNAと比例すると仮定し、エンドトキシンによるプライミング直後のRNA比の定量、およびパイロトーシス直後のRNA比の定量を行う。パイロトーシスが個々の細胞で時間的にばらついて生じることに加え、細胞死が進行するとRNA分解が亢進するとかんがえられるため、1細胞即時回収・遺伝子発現解析法によってパイロトーシス直後の単球を回収し、NLRP3mRNAの発現量と変異率、及びIL-1βmRNA発現量を調べ、1細胞レベルで見られるパイロトーシスの不均一性の理解を試みる。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] Live Cell Imaging of Secretion (LCI-S) to track the dynamics of cytokine production from individual immune cells2017
Author(s)
Yoshitaka Shirasaki, Kaede Miyata, Yumiko Tanaka, Mai Yamagishi, Nobutake Suzuki, Rie Baba, Hiroki Kabata, Koichi Fukunaga, Tomoko Betsuyaku, Osamu Ohara, Kazuyo Moro, Sotaro Uemura
Organizer
The 5th Annual meeting of the international cytokine and interferon society
Int'l Joint Research
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