2017 Fiscal Year Annual Research Report
ダイイングコードによる組織破壊・修復バランスの制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Homeostatic Regulation by Various Types of Cell Death |
Project/Area Number |
17H05500
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菅波 孝祥 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (50343752)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マクロファージ / 線維芽細胞 / NASH / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、独自に開発した非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデルを用いて、細胞死を起点とする慢性炎症の分子メカニズムを検討している。既に、中枢性に摂食を制御するメラノコルチン4型受容体(MC4R)欠損マウスに高脂肪食を負荷することにより、肥満やインスリン抵抗性を背景として、脂肪肝、NASH、肝細胞癌を経時的に発症するユニークなNASHモデルを作製していたが、本年度、脂肪肝を発症したMC4R欠損マウスに対して少量の四塩化炭素を単回投与し、肝細胞障害を惹起することにより、1週間の過程でNASHを発症する新たなNASHモデルを作製した。これにより、肝細胞死を起点としてマクロファージや線維芽細胞が集積する特徴的な微小環境(CLS: crown-like structure)の形成過程や、構成するマクロファージの由来、動態などについて、新たな知見を得ることができた。即ち、肝組織マクロファージがCD11c陽性に形質転換することによりCLSを形成し、線維芽細胞の活性化や線維化を誘導する。一方、ケモカイン受容体CCR2を介して肝臓に浸潤するマクロファージは、CLS形成に必須ではなかった。そこで、NAFLD/NASH症例の肝組織像を検討したところ、CD11c陽性CLSは、balooningと正の相関を示し、NASスコアで5-6、fibrosis stage IIでピークとなった。このように、CD11c陽性マクロファージで構成されるCLSは、ヒトとマウスのNASHにおいて肝線維化の病理組織マーカーとなることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自の動物モデルを用いて、細胞死を起点とする特徴的な微小環境の分子メカニズムを明らかにするとともに、ヒトにおける病態生理的意義を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
CLSにおいて、線維芽細胞が活性化される分子メカニズムを検討することにより、細胞死を起点とする間質細胞の細胞応答の全貌を明らかにしたい。
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Research Products
(8 results)