2017 Fiscal Year Annual Research Report
Neural Network for Adaptive Social Behavior in Postpartum Females
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
17H05549
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小川 園子 筑波大学, 人間系, 教授 (50396610)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 養育行動 / 母親攻撃行動 / 神経回路 / 活動性 / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)内側視索前野、内側扁桃体でのエストロゲン受容体(ER)アルファ、ERベータ 遺伝子欠損が授乳期雌マウスの養育及び攻撃行動におよぼす影響の解析:siRNA-AAV法によるERアルファ、ER ベータのKD実験から、出産後の雌マウスが侵入雄マウスに対して示す攻撃行動(Maternal Aggression)の表出と、新生仔マウスに対して示す養育行動(Maternal Care)の表出を制御しているメカニズムが異なることを示唆する結果が得られた。すなわち、養育行動には、内側視索前野のER アルファ が促進的に作用し、攻撃行動には、内側扁桃体 のER ベータは促進的に、内側視索前野のER ベータ は抑制的に働いていることが見出された。 (2)内側視索前野、内側扁桃体でのエストロゲン受容体(ER)アルファ、ERベータ 発現細胞の特色の解析:先行研究では、内側視索前野、内側扁桃体には、ERアルファとER ベータの両方が発現していることが報告されているが、実際にどの程度、同じ細胞に共発現しているのかどうかは十分には解析されていない。その主な理由は、ER ベータの同定が困難であることにある。そこで、我々の研究室での別のプロジェクトの一環として作製したERベータに赤色蛍光タンパク質(RFP) 遺伝子をつないだレポーターマウスを用いて、内側視索前野、内側扁桃体でのERアルファとER ベータの共発現の解析を行った。その結果、どちらの領域においても、ERアルファあるいはER ベータを単独で発現する神経細胞と、両者を共発現する細胞が同定された。 30年度には、 養育行動、攻撃行動の各々の表出に伴い活性化している神経細胞がこの3種のいずれにあたるのかを解析することを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、神経細胞内において、最初期遺伝子c-fosの活性に伴い、tTAを産生するcFos-tTAマウスと、テトラサイクリン産生に伴って光受容体と蛍光タンパクを産生するTetO-ChR2-EYFPマウスを交配して得られる(cFos-tTA)×(TetO-ChR2-EYFP)の雌マウスを用いて、出産後に見られる養育行動と攻撃行動の神経回路の違いを同定することを目指していた。しかしながら、このマウスモデルでは、神経活動の信頼性の高い標識が困難であることが判明した。そこで、出産後雌の行動の制御に深く関わるホルモンの内側扁桃体、内側視索前野での作用に着目して、養育行動と攻撃行動の神経回路の違いを同定することとした。その結果、当初の目標を達成するために、30年度に計画しているc-fos解析、および光遺伝学、薬理遺伝学的操作による行動変容の解析に必須となる研究成果が得られた。したがって、計画に変更はあったものの、概ね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
実験1:エストロゲン受容体β発現細胞をin vivoで可視化するため、ERβ BACプロモーターの下流に赤色蛍光タンパク質(RFP) 遺伝子をつないだBAC tg レポーターマウス、ERβ-RFPtgを 用いる。すべてのマウスにおいて、出産後1、3日目に攻撃行動テストを行う。出産後5日目には、半数のマウスで攻撃行動テストを行い(養育+攻撃群)、 攻撃行動テストを行わない残りの半数のマウス(養育群)とともに、テスト終了後1時間以内に脳組織を採取する。また、 出産後に攻撃行動テストはしないが、それ以外は養育群と同様の手続きを行う統制群も設ける。免疫組織化学染色法を用いて、 ERα及びERβのシグナルとしてのRFPとc-fosとの共発現を解析する。 実験2:実験1の結果から、養育+攻撃群と養育群の間で、c-fosとERαあるいはc-fosとERβの共発現が有意に異なる部位を選び、ERα-CreあるいはERβ-Creマウスを用いて、オプトジェネティックスあるいはDREADD法によるERα、ERβ陽性細胞特異的な神経活動の操作が行動発現に及ぼす効果を検討する。
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Research Products
(8 results)