2017 Fiscal Year Annual Research Report
プレシナプス分子の動作原理から捉える適応回路メカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
17H05560
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大塚 稔久 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40401806)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞は外界の様々な変化・刺激を受けて、シナプス伝達の強度を変化させる。そしてそのシナプスレベルの変化が最終的には回路レベルで統合されて、行動の表出とその変化につながる。本研究では、ポストシナプスに比べ不明な点が多い学習・行動によるプレシナプスの変化について、アクティブゾーンタンパク質CASTおよびファミリーメンバーELKSに着目した研究を推進する。そこで、本年度は以下の項目について研究を推進した。 1, 行動関連神経細胞での遺伝子発現の解析:養育行動・報酬学習を行ったマウス脳で活性化する神経細胞を同定する目的で、c-fosによるin situハイブリダイゼーションの系を立ち上げた。また、各種シナプスタンパク質をコードする遺伝子のプローブ作製を進めた。また、実際の行動実験については養育行動に着目して、実験パラダイムの構築を行った。さらに、昨年度までにCASTが大脳基底核のドーパミン作動性ニューロンに強く発現していることを見出していたので、ノーズポーク試験など、新しい行動解析システムの導入を進めた。 2, リン酸化抗体によるCASTのリン酸化修飾の解析:脳内のどの領域でCASTおよびファミリーメンバーELKSがリン酸化されているかを明らかにするために免疫染色による形態学的な解析を行った。海馬および大脳皮質では主にCASTが、小脳では主にELKSがリン酸化されていることを見出した。また、内在性のCASTおよびELKSを同時に検出する目的で(当該リン酸化抗体がモルモット由来)、CASTおよびELKSに対するマウスモノクローナル抗体の作製を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動実験に関する予備データでは、子育て行動をさせた際のメスマウスの脳内のどの領域で神経細胞が活性化されるのかを検討して、いくつかの領域でc-fosシグナルが顕著に上昇していることを見出した。一方で、バックグランドがやや高く出る傾向があったので、引き続き行動実験パラダイムの条件検討が必要と思われた。ノーズポーク試験を行うための実験室の整備を進めて、来年度以降、報酬系の行動解析を行える環境を整えた。 モノクローナル抗体についても、CASTおよびELKSに関してはそれぞれ10種類程度のハイブリドーマ上清が得られた。これらについて、免疫染色を行い、染色の特異性が高いものをそれぞれ3つ程度に絞り込んだ。 以上のように、初年度として予備的データも蓄積されつつあり、研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
子育て行動や報酬行動時において活性化する神経細胞の同定を引き続き進める。特に、野生型で一定の予備的データが得られた段階で、CASTノックアウトマウスの脳内におけるc-fosシグナルのパターンを詳細に解析する。 また、組織を用いた解析でもCASTリン酸化抗体は使用できるので、上述の行動解析と組み合わせて、養育行動時におけるCASTおよびELKSのリン酸化の程度をウエスタンブロット法および免疫染色法にて解析する。 さらに、モノクローナル抗体の作製を継続して、ウェスタンブロッティングや免疫沈降実験、さらには免疫電顕にも使用可能なクローンを選別する。
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[Journal Article] Mutations in bassoon in individuals with familial and sporadic progressive supranuclear palsy-like syndrome2018
Author(s)
Yabe I, Yaguchi H, Kato Y, Miki Y, Takahashi H, Tanikawa S, Shirai S, Takahashi I, Kimura M, Hama Y, Matsushima M, Fujioka S, Kano T, Watanabe M, Nakagawa S, Kunieda Y, Ikeda Y, Hasegawa M, Nishihara H, Ohtsuka T, Tanaka S, Tsuboi Y, Hatakeyama S, Wakabayashi K, Sasaki H.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 8
Pages: 819
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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