2017 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質の領野特異的かつ層特異的なフィードバック結合の神経活動操作法と機能解明
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
17H05562
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小坂田 文隆 名古屋大学, 創薬科学研究科, 准教授 (60455334)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ライブイメージング / 逆行性ウイルスベクター / 領野 / 摂動 / 視覚野 / 情報処理 / 神経回路 / 薬理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質は6層構造を有し、第2/3層細胞および第5層細胞が出力細胞として大脳皮質の異なる領野間の情報伝達を担う。第2/3層細胞および第5層細胞が特定の領野に固有の情報を伝達する。そこで、我々は視覚情報伝達における領野特異的かつ層特異的なフィードバック結合の役割を検討する目的で、①第2/3層細胞および第5層細胞からの神経活動の計測、② 特定の領野に出力する第2/3層細胞と第5層細胞をそれぞれの活動操作を可能にする系の確立を目指した。まず①のために、緑色カルシウム感受性蛍光タンパク質のGCaMP6を発現する逆行性ウイルスベクターを作製した。そのウイルスベクターをマウス1次視覚野V1に微量注入し、高次視覚野からV1へフィードバック投射を送る第2/3層細胞と第5層細胞にGCaMP6を発現させ、2光子顕微鏡を用いてそれら第2/3層細胞と第5層細胞からカルシウムイメージングを実施した。それらの神経細胞から視覚応答を記録し、方位選択性応答や方向選択性応答を観察した。次に、②のために、逆行性感染ウイルスベクターと層特異的にCreを発現する遺伝子改変マウスにより2つの異なる組換え酵素システムCre/loxとFlp/frtを用いることで、マウス大脳皮質の特定の領野から特定の領野へ投射する特定の層の神経細胞に薬理遺伝学ツールであるhM4DiやhM3Dqなどを発現させた。以上の手法により、領野特異的かつ層特異的なフィードバック結合細胞に選択的に標識および機能操作することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たなイメージング系の構築および特異的なウイルス感染の確認が達成されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
①第2/3層細胞および第5層細胞からの神経活動の計測から新たな仮説をたて、引き続き、その仮説を検証するための実験を実施する。Gain-of-functionおよびloss-of-functionによる解析を行うために、② 特定の領野に出力する第2/3層細胞と第5層細胞をそれぞれの活動を操作する実験を実施する予定である。
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