2017 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路の選択的可視化と操作を実現するウイルスベクターシステムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
17H05565
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 謙一 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (90455395)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / バイオテクノロジー / ウイルスベクター / 霊長類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新規に開発する逆行性感染型ウイルスベクターや順行性感染型ウイルスベクターを利用して、特定の神経回路を構成するニューロン集団の選択的可視化や活動操作をおこなう新規手法を開発し、霊長類において神経回路の機能シフト研究をおこなうための基盤技術を確立するためのシステム開発研究を行っている。今年度は、まずジャンクションが最適化されたキメラエンベロープタンパク質を利用したNeuRet型逆行性感染型レンチウイルスベクター(FuG-E)とHiRetベクターであるFuG-B2型のの霊長類(マカク・マーモセット)およびげっし類(ラット)における感染動態や注入部位における免疫反応などの差異を線条体注入系において解析した結果、FuG-E型ベクターがどの種・どの投射系においてもFuG-B2型と同等以上の逆行性感染効率を示し、またFuG-B2型が注入部位において組織損傷と免疫誘導を引き起こすのに対し、FuG-E型は引き起こさないことが明らかになった(論文投稿中)。また、同様の解析を皮質注入系においても実施した(論文準備中)。一方、アデノ随伴ウイルスベクターのキャプシド改変を行い、霊長類において高い神経細胞選択性と外来遺伝子発現能を両立するウイルスベクターの開発に成功し、霊長類における化学遺伝学(DREADD法)に適用した。さらに、独自に開発した狂犬病ウイルスベクターのゲノム改変によって作成した、ゲノム複製能や外来遺伝子発現量が異なる複数の感染伝播能欠損型ベクターの性状解析を行い、低細胞毒性型、長期発現型の伝播能欠損型狂犬病ウイルスベクターの開発を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の研究の目的および実施計画欄に記載した、低細胞毒性型、長期発現型の逆行性感染型ウイルスベクターの開発、投射線維の光刺激による神経路選択的活動操作法に適したウイルスベクター開発において当初見込んだ通りの成果を得ており、一部は論文投稿中であり、他にも論文投稿準備を進めている。また翌年度に本格的に開始する、逆行性感染型ベクターを利用した経路選択的活動操作法・細胞メージング法の確立、および霊長類における投射線維の光および薬剤刺激による神経路選択的活動操作法確立に関してもベクター開発や作成などが当初予定通り準備が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進展していると考えられるため、今後も当初予定に従い、前年度開発した逆行性感染型ウイルスベクター(逆行性感染型レンチウイルスベクター、伝播能欠損型狂犬病ウイルスベクター)に関しては、検証実験結果を論文としてまとめるとともに、同ベクターを利用した霊長類における光および薬剤刺激による経路選択的活動操作法の確立研究を進める。また、軸索末端の光刺激による、特定神経路の選択的活動操作法に関しては、前年度開発した改変アデノ随伴ウイルスベクターの発展検証実験結果を論文としてまとめるとともに、光刺激ないしは薬剤刺激が、注入部位が投射を送る複数の領域毎に、かつ同一個体で可能である実験システムの確立を目指し研究を推進する。
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Research Products
(32 results)