2017 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質ニューロンの後天的な軸索投射シフトの制御機構
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
17H05569
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 亘彦 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00191429)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 神経発芽 / 脳損傷 / RNAseq |
Outline of Annual Research Achievements |
脳の神経回路は発達期の神経活動によって再編されるが、一方脳損傷などの後天的な事象によっても新たな神経回路が作り出されることが知られている。しかし、その分子機構は十分に理解されていない。この問題に取組むために、大脳運動野-中脳(赤核)への投射系に着目した。この系では、一側性の運動野損傷により本来ほとんど存在しない対側性の運動野-中脳投射が出現し、機能回復に寄与することが報告されている(Tsukahara, 1981)。本研究では、この新たな投射形成を制御する細胞分子機構を明らかにすることを目指した。まず、その形成過程を明らかにするために、対側運動野からの出力線維(5層由来)の投射パターンを運動野除去後の様々な時間経過で調べた。具体的には、生後1週後に一側性に大脳半球を除去し、除去後2、4、7日後で蛍光色素または子宮内電気穿孔法による軸索標識法を用いて、大脳5層細胞由来の軸索の投射様式を調べた。その結果、大脳除去後2日で既に対側の滞納皮質由来の軸索が正中線を越え始めていること、除去手術後4日から7日にかけて、さらにその対側性投射が密になり標的の赤核などへの投射が生ずることが明らかになった。この時間経過を踏まえて、対側投射を生じさせる誘引性因子の存在を想定し、手術後2日、4日の時期で損傷側と健常側中脳組織に対してRNAseqにより遺伝子発現解析を行った。その結果、軸索動態と関連性のある複数の遺伝子発現が損傷側中脳で増大することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一側性の大脳半球除去後に新たな対側性投射が生ずる時間経過が明らかになり、その時間経過に基づいて遺伝子発現解析を行い軸索成長を担う候補分子を挙げることができるに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
挙げられた候補分子の機能を明らかにするために、それらを発現する細胞種の特定を行うと共に、候補分子の作用をin vitroの実験系を用いて調べる。また、次のステップとしてin vivoで機能解析を行う準備として、遺伝子改変動物の解析のための準備を行う。
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Research Products
(12 results)