2018 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス抵抗性を司る神経回路の同定と内側前頭前皮質神経細胞形態変化の役割
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
17H05572
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
古屋敷 智之 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20362478)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経科学 / 薬理学 / ストレス / うつ病 / 前頭前皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会や環境から受ける長期的なストレスはうつや不安など情動変容を促す。一方、短期的なストレスはストレスへの抵抗性を増強するが、そのメカニズムには不明な点が多い。研究代表者らは、マウスの社会挫折ストレスを用い、短期的なストレスが内側前頭前皮質(mPFC)のドパミン受容体を介し、mPFCの興奮性神経細胞の樹状突起やスパインを造成することを示した。本研究では、mPFCのドパミン受容体により制御されるmPFCの入出力回路を調べ、その入出力回路の神経活動を操作してストレスによる情動変容への影響を調べることで、ストレス抵抗性増強を担うmPFCの入出力回路を同定する。並行して、mPFCのドパミン受容体により造成されるシナプスがストレス抵抗性増強に必須かを検証する。以上により、短期的なストレスがmPFCドパミン系を介しストレス抵抗性を増強する、回路機能シフトの実態とそのメカニズムを解明する。 平成30年度は重複制限による事業廃止までに、社会挫折ストレスによるmPFCの組織学的変化を三次元電顕により解析し、神経細胞とグリア細胞の構造変化を同定しつつある。単回ストレスにより活性化される脳領域を組織学的マッピングにより同定し、この脳領域のストレス抵抗性制御への関与を化学遺伝学的に示しつつある。並行して、反復ストレスによるmPFC神経細胞の樹状突起退縮と情動変容に、自然免疫受容体TLR2/4を介したmPFCのミクログリアの活性化と炎症性サイトカインの放出が関与することを示した(Neuron 2018)。また、反復ストレスにより社会忌避行動が起こるマウス個体と不安亢進が起こるマウス個体は集団として異なること、後者のみ異性への嗜好性の増加を伴うことを示し、ストレス抵抗性を複数の行動指標により調べる重要性を提起した(Sci Rep 2018)。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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