2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of memory phase shift from fear to extinction after fear memory retrieval
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms underlying the functional shift of brain neural circuitry for behavioral adaptation |
Project/Area Number |
17H05581
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
喜田 聡 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (80301547)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 恐怖記憶 / 記憶消去 / 記憶想起 / PTSD / 記憶エングラム / 記憶再固定化 / 海馬 / 前頭前野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では「海馬が恐怖から消去への回路シフトのスイッチ的役割を果たしている」との仮説を検討した。前脳特異的にチャネルロドプシン2 (ChR2)またはアーチロドプシンT (ArchT)を発現するトランスジェニックマウスを用いて、恐怖条件付け24時間後に10または30分間電気ショックを受けたチャンバーにマウスを戻して恐怖記憶を想起させて(再エクスポージャー)、想起中に海馬を人為的に活性化あるいは不活性化させた影響を解析した。その結果、短時間(10分間)の再エクスポージャー時に海馬を不活性化させると、その後に恐怖反応の減少が観察され、海馬不活性化が恐怖条件づけ文脈記憶を減弱させることが示された。一方、長時間(30分間)の再エクスポージャー時に海馬を活性化させると、消去の阻害が観察され、想起時の海馬不活性化を介して消去が誘導されることが示唆された。また、アデノ随伴ウイルスを用いてChR2あるいはArchTを発現させた場合にも、同様の解析結果が得られた。また、想起中に海馬を活性化あるいは不活性化する時間の長さの影響も解析し、様々な対照実験も行った。以上の結果から、恐怖記憶の想起時に、海馬の活性変動を介して、恐怖記憶が維持(再固定化)される、あるいは、消去されるかが決定されるメカニズムの存在が強く示唆された。 さらに、アデノ随伴ウイルスを用いて海馬興奮性ニューロンにカルシウムイオンindicatorであるGCaMPを発現させて、受動的回避反応記憶課題を用いて、想起時のニューロンにおけるカルシウムイメージングを試みた。具体的には、恐怖記憶を形成させて、その後、明箱と暗箱に戻して、恐怖記憶想起時の細胞内カルシウムイオン濃度変化を解析した。現在、データ解析を行い、恐怖ニューロンと消去ニューロンの同定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光遺伝学的手法を用いた解析を中心にして順調に計画が遂行された。
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Strategy for Future Research Activity |
恐怖から消去への回路フェーズシフトの根本原理に迫るために、c-fos-tTAシステムを活用して、ChR2あるいはArcTで恐怖記憶あるいは恐怖記憶消去エングラム細胞をラベルし、フェーズシフトに対するエングラム細胞の活性変化の影響を解析することを重点的に行う。また、脳搭載型蛍光顕微鏡を用いて海馬及び前頭前野のニューロンのカルシウムイメージングを行う実験を重点的に行い、恐怖記憶制御ニューロン及び恐怖記憶消去ニューロンを同定することを強化する。さらに、次世代シークエンサーを用いて、海馬、前頭前野、扁桃体の恐怖記憶フェーズ、フェーズ移行時及び消去フェーズにおけるトランスクリプトーム解析を実施し、フェーズシフト制御に関わる遺伝子群の同定を進める。
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Research Products
(41 results)