2017 Fiscal Year Annual Research Report
代謝酵素遺伝子ノンコーディングmRNAの食餌による発現制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Neo-taxonomy of noncoding RNAs |
Project/Area Number |
17H05596
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒柳 秀人 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30323702)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ノンコーディングmRNA / 遺伝子発現制御 / RNA品質管理 / NMD / 選択的スプライシング / 線虫 / 食餌 / アミノ酸代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.本研究課題では、線虫のアミノ酸代謝酵素をコードする遺伝子の発現が食餌に応答してmRNA前駆体からノンコーディングmRNAを産生する転写後プロセシングにより制御される現象の分子機構として作動エレメントと作動装置の実体を解明することを目指している。そのために、SAM合成酵素をコードするsams-3およびsams-4遺伝子の選択的スプライシング制御を可視化する蛍光レポーター線虫を作製し、飢餓によってレポーターの発現が変動することを確認した。そこで、作動エレメントを特定するために、候補配列を置換あるいは欠失させた変異型レポーター線虫を作製し解析中である。一方、差動装置を特定するために、候補となるメチル化酵素遺伝子の網羅的ノックダウンライブラリを作製した筑波大学の深水教授と共同研究を開始した。sams-3, sams-4のノンコーディングmRNA発現を誘導する食餌の大腸菌中の成分を特定するために大腸菌抽出物の酵素分解等を行い、タンパク質性の成分が寄与している可能性を見出した。メチオニン回路の代謝産物がsams-3, sams-4のノンコーディングmRNA発現に与える影響を解析する過程で、メチオニンが食餌に依存して線虫に対する毒性を示すことを期せずして見出した。 2.線虫のトロポミオシンをコードするlev-11遺伝子のスプライスバリアントを詳細に解析し、エクソン7aを含む新たなアイソフォームとしてLEV-11Oを同定し、頭部体壁筋でのみ発現することを報告した。また、他のアイソフォームの組織発現分布についても解析し投稿中である。 3.線虫のmRNAプロセシング制御(組織特異性、発生段階依存性、ノンコーディングmRNAの産生と品質管理により発現量の制御、遺伝学的解析方法、他の生物との比較など)についての総説を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、食餌に応答してノンコーディングmRNAが産生される現象の分子機構として作動エレメントと作動装置の実体を解明することを目指している。そのために、A)蛍光レポーターの作製、B)レポーターの改変、C)食餌中の成分の生化学的・遺伝学的解析、D)代謝産物が与える影響の解析、E)ノンコーディングmRNAの産生比率が異なる食餌の探索、と異なるアプローチで並行して研究を進める計画を立てていた。そしてこれらのアプローチでそれぞれ一定の成果・前進があったため、「おおむね順調に進展」とした。このうちD)については、代謝産物がノンコーディングmRNAの産生に何らかの影響があるとの予想に反して高濃度で毒性を示すものがあり、それが食餌無しでは毒性を示さないことから、化合物そのものではなくそれを大腸菌が代謝して産生された別の化合物が毒性を示すと考えられ、ノンコーディングmRNAの産生による代謝恒常性の維持には重要な意義があると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、下記のさまざまなアプローチで並行して解析を進める。 B.食餌によりノンコーディングmRNAの産生を制御するための作動エレメントの同定:昨年度に作製した変異型レポーター線虫シリーズを利用し、食餌の有無による応答の違いを解析し、スプライシング制御に必要な作動エレメントを同定する。 C.ノンコーディングmRNAの産生を誘導する食餌中の成分の解析:昨年度までに作製した蛍光レポーター線虫のGFP/RFPの発現比率を指標に、ノンコーディングmRNAの発現を誘導する食餌中の成分の特性を明らかにし、単一で精製可能なものなら精製して同定する。 E.ノンコーディングmRNAの産生比率が異なる食餌の探索:ノンコーディングmRNAの誘導比率が大腸菌と大きく異なる細菌に対して、ノンコーディングmRNA誘導の候補となる遺伝子を導入し、蛍光レポーターを利用して食餌側で必要な遺伝子を遺伝学的に探索する。 F.食餌によりノンコーディングmRNAの産生を制御するための作動装置の同定:蛍光レポーター線虫を変異誘導剤で処理して、GFP/RFPの発現比率が変化する変異体をスクリーニングする。候補株が得られたら、食餌が内在性のノンコーディングmRNAに与える影響をRT-PCRで解析して確認する。変異体が単離できたら、遺伝学的マッピングと全ゲノムシーケンス解析を行って原因遺伝子を探索し、cDNA発現によるレスキュー実験で特定する。
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[Journal Article] Phosphorylation of the RSRSP stretch is critical for splicing regulation by RNA-Binding Motif Protein 20 (RBM20) through nuclear localization2018
Author(s)
Rie Murayama, Mariko Kimura-Asami, Marina Togo-Ohno, Yumiko Yamasaki-Kato, Taeko K. Naruse, Takeshi Yamamoto, Takeharu Hayashi, Tomohiko Ai, Katherine G. Spoonamore, Richard J. Kovacs, Matteo Vatta, Mai Iizuka, Masumi Saito, Shotaro Wani, Yuichi Hiraoka, Akinori Kimura and Hidehito Kuroyanagi
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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