2017 Fiscal Year Annual Research Report
ミジンコの性決定を制御する長鎖ノンコーディングRNAの作動装置の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Neo-taxonomy of noncoding RNAs |
Project/Area Number |
17H05602
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 泰彦 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60415932)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 長鎖ノンコーディングRNA / 性決定 / ミジンコ / ダブルセックス遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでにオオミジンコの性をオスに決定するダブルセックス1(Dsx1)遺伝子の活性化メカニズムの解析を行い、Dsx1のノンコーディングエキソンとオーバーラップするようにオス特異的に転写され、Dsx1遺伝子を活性化する長鎖ノンコーディングRNA、DAPALRを発見した。さらに我々はDAPALRのDsx1活性化エレメントはDsx1とオーバラープする205塩基であることをin vivoで明らかにし、このエレメントにRNA結合タンパク質が結合しDsx1活性化マシナリーが形成されているという仮説を提唱した。この仮説を検証する為に、平成29年度はミジンコ個体から調製したタンパク質抽出液を用いて活性化エレメントに結合するタンパク質の候補を複数リストアップすることに成功した。候補タンパク質の遺伝子発現に性差が認められなかったことから、DAPALR依存的にRNA結合タンパク質がオス特異的なDsx1活性化能を持つようになることが示唆された。 一方で、標的遺伝子の近傍から発現する長鎖ノンコーディングRNAは、標的遺伝子と同様の遺伝子発現制御を受けることが知られているため、Dsx1の発現を活性化する幼若ホルモン及び転写因子ヴリルがDAPALRの活性化に必要か否かを解析した。RNA干渉、変異導入実験等を行うことにより、DAPALRはDsx1と同様にDsx1遺伝子上流のエンハンサー領域に存在するヴリル結合部位を介して幼若ホルモンにより制御されていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DAPALRに結合するタンパク質の候補を複数同定できたことに加えて、DAPALRが幼若ホルモン及び転写因子ヴリルにより制御されることを明らかにできたため
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に見出したDsx1活性化エレメント結合タンパク質の候補の解析を進める。まず、in vitroでDAPALRへの結合の特異性を確認後、候補遺伝子の機能解析を行うためにCrispr/Casシステムを用いてノックアウト個体を作出する。変異体にオスの仔を産ませる条件で幼若ホルモンのアゴニストであるフェノキシカルブを曝露し、性決定への関与を確認する。変異が致死性の場合は、RNA干渉も検討する。さらに、RNA免疫沈降法とRNA-Seqを組み合わせたRIP-Seqを行うことによりタンパク質に結合する長鎖ノンコーディングRNAをリストアップする。そして、見出したRNAの機能解析を行うことでDAPALRの遺伝子活性化メカニズムが他のRNAでも共有されているか否かを明らかにする。
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