2017 Fiscal Year Annual Research Report
Chromatin regulation by small non-coding RNAs
Publicly Offered Research
Project Area | Neo-taxonomy of noncoding RNAs |
Project/Area Number |
17H05603
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩崎 由香 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80612647)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | クロマチン高次構造 / エピゲノム制御 / RNAサイレンシング / 小分子非コードRNA / 転写調節機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、piRNAがどのような機構によりヘテロクロマチン形成因子として機能するかを明らかにすることを目指している。平成29年度は、ショウジョウバエ卵巣由来の培養細胞(OSC)を用いて、ゲノム高次構造を同定できるHi-C (High throughput Chromosome Conformation Capture) 解析 [Lieberman-Aiden et al. Science (2009)] を行なった。これにより、PIWIノックダウンに伴い、piRNA標的トランスポゾンを含むゲノム領域の短距離間相互作用が減少し、長距離間相互作用が増加することが明らかとなった。さらに、取得済みの抑制性ヒストンマークのChIP-seqデータとトランスクリプトームデータに加え、活性化ヒストンマークのChIP-seqデータをPIWIノックダウン前後のOSCを用いて取得し解析した。その結果、Hi-C解析で観察されたゲノム高次構造変化に協調するかたちでヒストンマークや遺伝子発現が変動していることが明らかとなった。この結果をショウジョウバエ個体で検証するために、Piwi変異ショウジョウバエ個体の卵巣を用いたHi-C解析ライブラリを作成した。少ないリード数で行なった予備解析の結果、培養細胞でみられた傾向がより顕著にみられることを確認した。現在、リード数を増やし再度シーケンス解析を行なっており、得られたデータの解析を平成30年度に進める。 上記のゲノムの高次構造変化を引き起こす責任因子の同定を目指し、PIWIノックダウン条件下でのクロマチン結合タンパク質のプロテオーム解析を行った。その結果、インシュレーター複合体構成因子のクロマチン結合量がPIWIの抑制に伴い減少するという結果が得られた。この結果を検討するために、インシュレーター複合体構成因子に対するモノクローナル抗体を作成した。今後これらの抗体を用いて生化学的解析やChIP-seq解析等を進め、piRNAによるゲノム高次構造制御に関連している可能性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、Piwi-piRNA経路が抑制対象とするトランスポゾンコードゲノム領域特異的にゲノム高次構造変化が起こることを示すことに成功した。さらに、これらがヒストン修飾や遺伝子発現量に連動しているという結果が得られている。当初は予定していなかった成果として、ショウジョウバエ個体でも同様のゲノム高次構造変化がより顕著に起こっている可能性を明らかにした。これに加え、関連因子のスクリーニングのために行なったクロマチンプロテオーム解析結果から、インシュレーター関連因子を複数同定した。候補因子に対する高品質なモノクローナル抗体の作成に成功し、ウェスタンブロット、免疫染色、免疫沈降、ChIP等の解析に使用できることを確認した。また、本研究に関連した手法解説論文を3報発表した [Iwasaki et al. Methods (2017), 岩崎由香 実験医学 (2017), Murano et al. Methods in Enzymology (2018)]。 領域内共同研究として、カイコpiRNA並びにpiRNA前駆体の情報学的解析を進めてきた。この解析結果を含め、カイコpiRNA生合成機構を報告する論文を発表した [Nishida et al. Nature (2018)]。
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Strategy for Future Research Activity |
Piwi遺伝子欠損ショウジョウバエ個体を用いたHi-C解析の結果、個体でもPiwi依存的なゲノム高次構造変化が起こっている可能性を明らかにした。さらに、培養細胞で観察された影響よりもより顕著な傾向が確認された。培養細胞での観察がノックダウンによる一過的なPiwiタンパク質の喪失であることに対して、変異体を用いた解析では、ゲノム高次構造形成前からPiwiタンパク質およびpiRNAが機能していない状態を観察しているため、より顕著に影響が観察できている可能性が考えられる。この仮説の検討も含め、平成30年度は個体のHi-Cデータに関する詳細な解析を進める。また、クロマチンプロテオーム解析結果から得られた候補因子である、インシュレーター関連タンパク質に対する高品質なモノクローナル抗体の作成に成功した。平成30年度はこれらの抗体を用いた生化学実験およびChIP-seq解析等を進め、候補因子がPiwiによるクロマチン高次構造制御の責任因子として機能する可能性を検討する。
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Research Products
(9 results)