2017 Fiscal Year Annual Research Report
Reproductive system of lincRNA/miR2118/phasiRNA in plant
Publicly Offered Research
Project Area | Neo-taxonomy of noncoding RNAs |
Project/Area Number |
17H05608
|
Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
小宮 怜奈 沖縄科学技術大学院大学, サイエンス アンド テクノロジー グループ, サイエンス アンド テクノロジー アソシエート (90631416)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | non-coding RNA / microRNA / 生殖 / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、タンパク質をコードしないnon-coding RNAが大量に転写され、生命機能を制御することから、non-coding RNAの新たな機能が報告されている。植物のnon-coding RNA 研究は、個々のnon-coding RNAの生理機能が解明されつつあるが、植物のゲノムワイドな非コードゲノム領域の機能と存在意義に関する知見は極めて乏しい。 本研究では、減数分裂前の生殖初期に特異的に発現する700種以上の生殖lincRNAs (large intergenic non-coding RNA)とmicroRNA2118 (miR2118) の機能、及び、その転写制御機構解析し、植物生殖細胞発生の分子メカニズム解明を目指す。これらlincRNAには、miR2118が認識する22塩基長の共通配列 (作動エレメント) が存在する。生殖lincRNAsは、miR2118切断を介して、21塩基間隔にプロセシングされ、21塩基のフェーズを示すphased small interfering RNA (phasiRNAs) が生成される。これら21塩基のphasiRNAは、イネの生殖細胞特異的に働くArgonauteタンパク質と結合することを明らかにしている (Komiya et al., Plant J 2014)。 本年度は、phasiRNA生成の引き金となる重要なmiR2118変異イネに着目し、詳細な形態観察、及び、in situ hybridizationによる発現解析を行った。さらに、700種を超える生殖non-coding RNAの転写制御機構解明を目的とした上流因子の探索を行い、生殖lincRNAsの発現を正に制御する候補因子の変異体作成、及び、抗体作成を試みた。また、二つの国際学会へ参加し研究内容を報告するとともに、分子生物学会では動物non-coding RNA研究者との交流を積極的に行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.miR2118変異イネの生殖制御 miR2118はイネのゲノム中にa~r までの18のファミリーが存在し、第4染色体に15のmiR2118ファミリーが近接して座乗している。miR2118 ファミリーのうち、13箇所のファミリーが欠失した変異イネに着目し、戻し交配による材料作りと雌雄交雑実験を行った。交雑実験の結果、miR2118変異イネは雌雄両者、不稔を示すことが示唆された。また、miR2118が標的とする生殖lincRNAは、メスの生殖組織でも発現が確認されたことから、生殖lincRNAs/miR2118の雄組織のみならず雌組織での機能も示唆された。また、miR2118/生殖lincRNAのin situ hybridizationを行い、詳細な発現解析を行った。 2.生殖lincRNAの発現を制御する上流因子の探索 700種を超える生殖lincRNAsの転写制御機構を明らかにするため、現在までに、ゲノム編集技術を用いて、候補因子CRF1 (Chromatin Regulated Factor 1) 領域の欠失・挿入変異系統を作出した。これらCRF1変異イネ, 4系統のゲノム解析した結果、6塩基欠失がおこり、種子稔性の低下も見られなかったことから、有用変異体作出のためT1世代の大々的なスクリーニングの必要性が示唆された。一方、CRF1 T-DNA変異体では、種子の稔性が低下し、生殖lincRNAsの発現が減少することから、CRF1が生殖lincRNAsの上流に位置し正に制御している可能性が示唆された。 また、GFPを融合したCRF1をcrf1変異イネに導入した形質転換体を作出した。これらの個体ではGFPの転写産物は確認できたがタンパク質の発現は確認されず、稔性の回復もみられなかった。そこでCRF1抗体作成にむけて、CRF1タンパク質を大腸菌で発現させ、GSTによる精製を行った。質量分析にてCRF1タンパク質であることを確認した。本年度、miR2118変異イネを用いた雌雄生殖制御解析、及び、上流候補因子CRF1の抗体作成に向けた準備を進めることができ、おおむね順調に研究が進んでいると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
H29年度、生殖lincRNAの高密度領域欠失系統のT1世代の解析を進めたが、すべてヘテロ個体のみで、ホモ個体を得ることができなかった。今後、生殖lincRNAの高密度領域欠失ホモ個体の選出、ゲノムシーケンス、及び、生殖組織/生殖細胞への影響を観察し、広範囲欠失領域変異イネの解析を進める。 miR2118生殖変異イネ/生殖lincRNA高密度欠失変異イネを用いて、プロテオーム解析を行い、生殖lincRNAs/miR2118によるタンパク質発現への影響を解析する。また、miR2118の機能解明に向けた論文作成準備に取り組む。 生殖lincRNAsの上流因子の解析においては、引き続きCRF1の抗体作成に取り組み、CRF1を用いたクロマチン免疫沈降を行い、CRF1のDNA結合部位を網羅的に解析し、CRF1を介した生殖lincRNAsの転写制御機構解明を試る。
|
Research Products
(5 results)