2017 Fiscal Year Annual Research Report
細胞競合現象の時空間的解析とその操作
Publicly Offered Research
Project Area | Cell competition: a mechanism for survival of the fittest in the multi-cellular community |
Project/Area Number |
17H05611
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大場 雄介 北海道大学, 医学研究院, 教授 (30333503)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 蛍光バイオイメージング / 光操作 / 細胞競合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、光による細胞競合の誘導系を開発し、細胞競合の発生を時空間的に厳密に制御すること、同時に分子の活性化、分子間相互作用、イオン濃度変化等を蛍光バイオイメージングで観察し、winner、looser間での細胞競合が生じるための時空間的な分子動態を詳細に明らかにすることを目的に行っている。 本年度は、488 nmの光で分子間相互作用が誘導されるCry2-CIBの系を用いて、二つのRas活性化法を構築した。Rasはファルネシル化による膜局在が機能発揮に必須である。そこでファルネシル化部位を削った活性化型Ras(RasV12)とCry2の融合タンパク質発現ベクターを構築した。また、Rasの活性化因子であるSos2とCry2融合タンパク質の発現ベクターも作製した。一方のCIBにはRasのファルネシル化領域を付加し、細胞膜に局在させた。これにより光照射でRasシグナルを発する系を構築した。これら二つの系を用いて光でRasを活性化した時に、細胞競合の生じ方に違いがあるか否かを検討した。両者は光照射によって、Rasの下流因子のうち少なくともERKの活性化強度に関しては同程度生じることを確認した。この条件下において、光照射を行ってRasの活性化を誘導したところ、RasV12の系のみで細胞競合が観察された。Sos2による内在性Rasの活性化では細胞競合が誘導されなかった。この結果は、少なくとも一つの下流因子の活性化状態は同じであるにも関わらず、細胞競合誘導に差が見られたことから、何がwinnerとlooserを決めるかという根本的課題に迫る緒になると期待できる。 また、細胞競合中に生じる細胞内Ca2+の伝播の可視化および解析にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概ね調書記載の計画通りの進捗であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に従って研究を推進する。具体的にはCry2-CIB系は光照射で相互作用を誘導できるものの、解離は時定数に従って生じるためコントロールとすることができない。また、488 nmの光を用いるため他の多くのバイオセンサーの同時使用ができない。そこで、650 nmという比較的長い波長により誘導される分子間相互作用を活用したPhy-PIF系を導入する。この系は、誘導に用いる光が長波長であると同時に、650 nmと750 nmの光でオンとオフがコントロールできるメリットがある。 また、本年度見出した現象の分子メカニズムを解明するため、各種Ras下流因子の活性化を各種バイオセンサーを用いて時空間的に解析する。
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