2017 Fiscal Year Annual Research Report
マウス発生分化における細胞競合を介した倍数体排除機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Cell competition: a mechanism for survival of the fittest in the multi-cellular community |
Project/Area Number |
17H05613
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
堀居 拓郎 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (00361387)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 倍数体 / 細胞競合 / 1倍体 / 4倍体 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスを始めとした哺乳類では1倍体(1n)胚および4倍体(4n)胚ともに個体として産まれることはできない。一方、それぞれを正常な2倍体(2n)胚とキメラにした場合、1倍体細胞は2倍体化した細胞のみ個体発生でき、4倍体細胞は胎盤には寄与できるが個体にはほとんど寄与できない。しかし、発生分化過程でこれらの倍数性の異なる細胞がどの段階でどのような機構で排除されていくのか明らかにした報告はほとんどない。本研究では、倍数性の異なる細胞が、発生分化過程で自らのもつ細胞運命によって排除されるのか、それとも周りを取り囲む2倍体細胞との競合によって排除されるのか明らかにする。具体的には、1倍体および4倍体のES細胞を用いて、in vitro およびin vivoにおける分化過程での2倍体細胞との細胞競合を調べる。 我々はこれまでに2倍体細胞と4倍体細胞との間には発生過程においてp53依存的な細胞競合が起きていることを示してきた(Horii et al., Sci Rep 2015)。そこで、1倍体細胞と2倍体細胞との間にも同様にp53依存的な細胞競合が起きていると予測したが、p53-KO ES細胞やp53阻害剤を用いた実験から、少なくとも1倍体と2倍体の間にはp53依存的な競合はin vitroでは起きていないことが明らかとなった。一方、1倍体細胞は培養中に培養皿から剥がれていくものが多かったため、細胞接着が関与する細胞競合が起きている可能性が示唆された。そこで、接着性の異なる培養皿を用いて、1倍体と2倍体の混合培養を行なったところ、接着性の高い培養皿では、2倍体が優勢となるのに対して、接着性の低い培養皿や浮遊培養では、1倍体と2倍体の間に細胞競合がほとんど起きていないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はp53依存的な細胞死による細胞競合を想定していたが、1倍体と2倍体の間では少なくともp53依存的な現象は確認できなかった。一方で、予想していなかった細胞接着因子が関与した細胞競合を示唆する現象を発見しており、当初の計画とはやや異なるが、関連遺伝子の候補を絞ることができているので、この評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度の研究成果より、H30年度は細胞接着に関与する遺伝子を抑制もしくは強発現させた1倍体細胞株を樹立し、細胞競合がどう変化するのか検討する予定である。候補遺伝子として、E-カドヘリン、RasおよびSrcを想定している。遺伝子の抑制については、CRISPR/Cas法により行う予定である(Horii et al., PeerJ, 2013)。
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Research Products
(7 results)