2017 Fiscal Year Annual Research Report
応力状態の変化に基づく異常細胞のセンシングと排出機構~細胞競合の力学的シナリオ
Publicly Offered Research
Project Area | Cell competition: a mechanism for survival of the fittest in the multi-cellular community |
Project/Area Number |
17H05629
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森下 喜弘 国立研究開発法人理化学研究所, 生命システム研究センター, ユニットリーダー (00404062)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞競合 / 理論生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では『応力状態の変化に基づく異常細胞のセンシングと排出機構~細胞競合の力学的シナリオ』を研究課題名とし理論解析と数値シミュレーションによって下記の課題(1)~(3)に取り組む。(1)成長する上皮組織における応力伝播機構の解明。(2)応力状態変化に基づく異常細胞センシングおよび排出機構の提案。(3)実験研究者と共同研究による応力伝播と異常細胞センシング機構の検証。
課題(1)と(2)に関しては、上皮細胞集団の力学を表現するVertex dynamics modelを用いて数理モデリングとシミュレーションによって研究を進めている。分裂する細胞の周囲の細胞における応力状態の経時的変化をシミュレーションによって多数回生成し、データを統計的に解析することで、応力伝播の様子を統一的に説明できる段階まで来ている。次年度ではこの情報をもとに、応力状態変化に基づく異常細胞センシング機構の提案まで持っていくことを目指す。力学的な細胞排出機構に関しては、解析的な近似解の導出に成功し、現在論文にまとめている所である[Lee and Morishita, in prep.]。(3)に関しては、領域内実験研究者から提供されたカルシウム時間変化のデータ解析を行ったが、現時点において特筆すべき結果は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の所で述べたように、課題(1)(2)に関しては順調にシミュレーションデータの蓄積とその統計解析が進んでいる。
特に、(2)の力学的な異常細胞排出機構に関しては、当初予定していた数値的な排出条件の解明というところから一歩踏み込んで、解析的に近似解を導出することに成功した。また、当初予定していなかった分岐現象を発見するなど成果が得られており、論文にまとめている段階である。(1)に関しても、基礎情報はかなり蓄積されてきており、異常細胞センシングに関連する新規機構の提唱へ期待が持てる。
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Strategy for Future Research Activity |
課題(2)の力学的な異常排出機構に関してこれまで得られた結果を可能な限り早い段階で論文投稿を終え、その後、異常細胞のセンシング機構に関する研究へ焦点をシフトして、本領域が終了するまでにまとまった結果を残せるよう研究を遂行する。
課題(3)に関しては、引き続き同領域内の実験研究者と密な議論・連携を続けることで、申請者らが理論研究から提案するメカニズムの実験的検証を試みる予定である。
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Research Products
(1 results)