2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of aging-associated modulation of adipocyte differentiation program
Publicly Offered Research
Project Area | Establishing a new paradigm of the pathogenesis of diseases through the understanding of stem cell aging |
Project/Area Number |
17H05632
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
眞鍋 一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70359628)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / 肥満 / 慢性炎症 / 幹細胞 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
急速な社会の高齢化は、糖尿病を始めとする生活習慣病のさらなる増加をもたらしている。慢性炎症は生活習慣病に共通する基盤病態であり、加齢は慢性炎症を促進する(inflammaging)ことが知られているが、その分子機序は不明である。申請者は、肥満とともに老化も内臓脂肪組織で炎症シグナルを活性化することを見いだした。また、高脂肪食負荷によって新規の炎症細胞(APDP細胞)が誘導されることを見いだした。新規炎症細胞は炎症性サイトカインを分泌し、脂肪組織炎症を誘導する。H27~28年度公募研究「細胞老化による脂肪細胞新生ニッチの変容と脂肪組織炎症慢性化機序の解明」において、老化との関連を解析し、老化脂肪組織ではAPDP細胞が増加することが炎症活性化に寄与していること、また加齢に伴いAPDP細胞への分化が活性化することを見いだした。本研究では、分化における広範なエピゲノム変換を制御する機序の老化による変調が脂肪組織炎症を誘導するモデルを検証し、その機序を解明することを目的とする。脂肪細胞・APDP細胞分化においてDNA損傷応答機がどのように広範なエピゲノムの変換を制御するかを検討するため、DNA損傷のマーカーであるγH2AXの肥満や老化によるゲノムワイドの変化をChIP-seqによって解析した。老化や代謝シグナルによるエピゲノム変換機構の変調について、脂肪前駆細胞やAPDP細胞のエピゲノムとトランスクリプトームをRNA-seqならびにATAC-seqにより解析した。その結果、脂肪前駆細胞の分化に影響する可能性が高い転写因子群を同定した。さらに、これらの転写因子群の機能を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATAC-seqによるオープンクロマチン領域の解析法を確立し、予定通り老化や肥満によるエピゲノムやトランスクリプトームの変化を解析した。その結果、重要な転写制御機構を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
エピゲノム変換制御機構の解明を目指し、引き続きDNA損傷応答機構の寄与についての解析を進める。γH2AXのChIP-seq解析によって、肥満や老化によってもたらされる特徴的な領域を同定する。Rad51のChIP-seq解析を合わせて行う。前年に引き続き、エピゲノム変化をATAC-seq、ChIP-seqで解析し、さらに重要なパスウェイの同定を進める。また、同定した転写因子・コレギュレータについて過剰発現・ノックアウトにより機能解析を進める。APDP細胞の分化機序について、単一細胞RNA-seq解析により検討を進め、APDP細胞の細胞系譜ならびに、その分化機構の同定を進める。
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