2017 Fiscal Year Annual Research Report
Aging and rejuvenation of epithelial stem cells
Publicly Offered Research
Project Area | Establishing a new paradigm of the pathogenesis of diseases through the understanding of stem cell aging |
Project/Area Number |
17H05637
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
川上 厚志 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (00221896)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生 / ゼブラフィッシュ / 表皮 / 幹細胞 / 鰭 / 細胞系譜 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼブラフィッシュなど魚類のヒレの上皮は、基底幹細胞とそれから生じる2~3層の上皮細胞から成る均質かつシンプルな表皮構造を持つ。蛍光イメージングに優れたヒレ組織は、哺乳類の皮膚再生の良いモデル系となる。私達はこれまでに、BACトランスジェニックにより、再生上皮にCreERt2 リコンビナーゼを発現させることに成功し、子孫細胞を永続的にEGFPで追跡できる系を構築した。細胞系譜解析の結果、上皮の再生中、分化上皮細胞は脱分化によって幹細胞に戻ることはなく、幹細胞は通常の細胞新生から、一時的に等分裂に移行して組織を再生することがわかった。本研究では、上皮の再生と定常状態における長期の細胞系譜の解析を行い、上皮幹細胞の維持や老化のプロセスを明らかにし、表皮基底幹細胞が長期のスパンでどのようにダイナミックに変動し、老化したり、また寿命をリセット(若返り)しているのかを解明することを目的とした。 平成29年度の研究では,ゼブラフィッシュのヒレ組織の再生過程における,基底幹細胞を含む表皮細胞の動態を詳細なイメージングと細胞追跡によって解明した。特に,シングルセルトレーシングによって,表皮細胞の自己複製と同時に,表皮細胞のターンオーバー(新生)も平行して起こることと,さらに,予想以上のダイナミックな表皮細胞の増殖と再編成によって,広範囲に表皮細胞の入れ換えが起こることが示された(Shibata et al. Development,145, dev.162016)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で,ゼブラフィッシュのヒレ再生過程で,再生上皮に発現する遺伝子fn1bを用いてBACトランスジェニック(Tg)を作製し,再生上皮細胞を永続ラベルすることに成功した。このTgを用い,ヒレ組織の再生過程における再生上皮の移動と再生後の細胞運命を詳細に追跡した。特に,シングルセルに由来する表皮クローンのトレーシングも行い,細胞の増殖,移動,分化について吟味した。 その結果,再生上皮は,近傍の主に鰭条間上皮がリクルートされてできること,それらは複数のヘテロな細胞運命をたどることが明らかとなった。早期にリクルートされる表皮は,わずか数日で細胞死を経てなったが,それより後にリクルートされる再生表皮は,再生後の皮膚を形成した。しかし,それらのうちでも,半数以上は末端へと押しやられていき2週間程度で組織から消失した。これと相補的に,広範囲の表皮で細胞の増殖が活性化され,予想以上のダイナミックな表皮細胞の増殖と再編成によって新たな表皮細胞を供給していることがわかった。再生過程では,基底層幹細胞,上層前駆細胞,分化細胞の表皮細胞のそれぞれのタイプは,自己複製を行って細胞を増やすが,脱分化は生じないことが示された。(Shibata et al. Development, 145, dev.162016.)。
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Strategy for Future Research Activity |
表皮幹細胞の中に増殖・分化のポテンシャルの異なるポピュレーションが存在するのかを明らかにするために,今後,以下の項目の研究を進める。 (1)表皮幹細胞の可視化と,分化・増殖を解析するための新たな系の構築 これまでの表皮クローンの追跡実験から,非再生時の基底幹細胞は非常にゆっくりとしか増殖(自己複製)も分化(新生)もしないことが観察された。このプロセスを詳細に解析できる新たな実験系の開発を行う。このため,まず,基底細胞をケラチン8プロモーターの制御下でCreを発現させて永続ラベル可能なトランスジェニック(Tg)を作製する。さらに,非基底層細胞にケラチン4プロモーター制御下にmCherry-NTRを発現するトランスジェニックを作製し,プロドラッグMtzとNTRによって,非基底層上皮細胞を除去できる系を構築する。これらを組み合わせて,繰り返し表層上皮を除去することにより,基底細胞の表層への分化を加速し,基底細胞の寿命・老化や自己複製過程を観察する。 (2)表皮基底細胞の制御機構 上で得られた表皮基底細胞の増殖と分化のスイッチングがどのようにして制御されているか探索する。Wntシグナルやその他のシグナルの関与について阻害,活性化実験を行い,Wntシグナルの関与と役割について検証する。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] Perturbation of the titin/MURF1 signaling complex is associated with hypertrophic cardiomyopathy in a fish model and in human patients.2018
Author(s)
Yuta Higashikuse, Takuro Arimura, Sung Han Yoon, Mayumi Oda, Nishant Mittal, Hirokazu Enomoto, Ruri Kaneda, Fumiyuki Hattori, Takeshi Suzuki, Atsushi Kawakami, Alexander Gasch, Tetsushi Furukawa, Akira Kudo, Siegfried Labeit, Keiichi Fukuda, Akinori Kimura, and Shinji Makino
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Journal Title
Sci. Reports
Volume: (in press).
Pages: (in press)
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Transient inflammatory response mediated by interleukin-1β is required for proper regeneration in zebrafish fin fold.2017
Author(s)
Hasegawa, T., Hall, C. J., Crosier, P. S., Abe, G., Kawakami, K., Kudo, A. and *Kawakami, A.
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Journal Title
eLife
Volume: 10.7554
Pages: 22716
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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