2017 Fiscal Year Annual Research Report
Role of testicular somatic cells in regulation of spermatogonial stem cell aging
Publicly Offered Research
Project Area | Establishing a new paradigm of the pathogenesis of diseases through the understanding of stem cell aging |
Project/Area Number |
17H05639
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 美都 京都大学, 医学研究科, 助教 (10372591)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 生殖 / 精子 / 老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
精巣における精子幹細胞の数は少ないが、自己複製分裂によりオス個体のほぼ一生に渡って精子を作り続けることができる。これまでの研究で精子幹細胞は試験管内でほぼ無限に増殖することが示され、in vitroでは精子幹細胞は老化抵抗性が高いことが分かった。しかし一方、in vivoの精巣においては高齢化によって産生される精子数が低下することから、精巣の支持環境に生殖細胞の老化を促進する原因があるのではないかと推察される。そこで本研究では(1)in vivoの精子幹細胞の老化の表現型を明らかし、in vitroの場合と比較する、また(2)若いマウスと高齢のマウスの精巣の遺伝子発現を比較し、老化精巣の支持環境について老化制御因子を探索し、幹細胞への影響を明らかにすることを目的に行った。平成29年度の研究では、高齢のマウスや老化モデルマウス(tert/alfa-klothoノックアウトマウス)を用いて長期培養系の老化の表現型がin vivoでも見られるかを、精子幹細胞の分裂の速度や、精巣内移植によるコロニー形成能や分化能など幹細胞活性の老化による推移を調べた。またin vitroで観察された増殖シグナル伝達経路の変化や代謝の変化などがin vivoでも関与しているかを調べた。また、Kit遺伝子の変異により先天的に内因性精子形成の欠損しているWマウスを用いて、若い個体の精巣と老化個体の精巣を摘出してRNAを抽出し、CAGE(Cap Analysis of Gene Expression)法を用いて遺伝子発現の変化を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)老化マウスにおける精子幹細胞の頻度および分裂活性の測定:野生型の老化マウス(24ヶ月齢)の精巣にて免疫組織染色を行い、未分化型精原細胞マーカーであるPLZF,GFRA1,CDH1などの発現細胞の頻度およびMKI67・TUNEL染色との共染色により分裂活性および細胞死の頻度を調べたところ、24ヶ月齢ではコントロール(3ヶ月齢)と差異が見られなかった。しかし老化モデルマウスalfa-klothoノックアウトマウス(7-8週齢)では増殖活性の亢進が見られた。In vivoにおける精子幹細胞の自己複製活性を調べるため、内因性精子形成の欠損しているWマウスへ精巣内移植を行い、移植後2ヶ月にて精巣を摘出しコロニー数を測定し、さらに継代移植を行った。また、alfa-klothoノックアウトマウスからGS細胞を樹立したところ、コントロールの野生型細胞に比べ、ホモ欠損細胞の増殖亢進が認められた。増殖亢進と老化による代謝活性の変化の関わりを調べるため、野生型老化マウスもしくはalfa-klothoノックアウトマウスから、抗EPCAM抗体を用いて純化した未分化型精原細胞についてフラックスアナライザーにてミトコンドリア代謝と解糖系への依存度を調べた。(2)環境側のもたらす老化制御因子の検索:環境側の老化制御因子をスクリーニングするため、内因性精子形成の欠損しているWマウスを用いて調べた。若いマウス(約6-8週齢)と高齢のマウス(生後2年)の精巣を摘出し、CAGE(Cap Analysis of Gene Expression)法にて遺伝子発現を比較した。差異の認められた遺伝子についてノックダウンもしくは強制発現が精子形成に及ぼす効果を調べるため、レンチウイルスにて精巣内に直接遺伝子を導入した。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度に引き続き、in vivo 精子幹細胞 老化の表現型を探索する。(1)alfa-klotho 欠損 GS 細胞を用いて、老化関連遺伝子のスクリーニングを行う。精子幹細胞マーカー(CDH1, EPCAM, alfa6/beta1-integrinなど)や、分化型精原細胞マーカー(c-Kit)の発現をフローサイトメトリーにて調べるとともに、マイクロアレイ解析によりホモ変異 GS細胞で発現量が変化する遺伝子群のスクリーニングを行う。またヒストン修飾トリメチル化 H3K4およびトリメチル化H3K27のChIP-シークエンスによる老化原因遺伝子の網羅的解析を行う。老化原因遺伝子の候補について、レンチウイルスベクターにて強制発現もしくはsiRNA/shRNAを用いてノックダウンを行い、増殖速度やサイトカインへの反応性・遺伝子発現パターン・代謝・移植による幹細胞活性などを調べ、老化表現型との相関を明らかにする。(2)環境側のもたらす老化制御因子の検索を行う。 29年度にCAGE法により得られた環境側老化制御因子候補に関して、セルトリ細胞にレンチウイルスにて遺伝子操作を行うとともに、CRISPRライブラリーを用いてノックアウトし、精子幹細胞および精子形成におよぼす効果を定量的に判定する。(3)ラット精子幹細胞の老化の検討を行う。EGFP を発現する SD 系統トランスジェニックラットについて、約20-24ヶ月齢と3-4ヶ月齢の精巣細胞をヌードマウス精巣に移植する。2ヶ月後に精巣を摘出し、UV照射によりドナー由来コロニー数を測定する。また、老化ラットの精巣にて免疫組織染色を行い、未分化型精原細胞マーカーPLZF,GFRA1,CDH1の発現細胞の頻度およびMKI67・TUNEL 染色との共染色により分裂活性と細胞死の頻度を調べる。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Transfer of a mouse artificial chromosome into spermatogonial stem cell generates transchromosomic mice.2017
Author(s)
Shinohara T., Kazuki K., Ogonuki N., Morimoto H., Matoba S., Hiramatsu K., Honma K., Suzuki T., Hara T., Ogura A., Oshimura M., Kanatsu-Shinohara M., Kazuki Y.
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Journal Title
Stem Cell Reports
Volume: 9(4)
Pages: 1180-1191
DOI
Peer Reviewed
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