2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of molecular mechanisms regulated by H3K27 methylation in stem cell aging
Publicly Offered Research
Project Area | Establishing a new paradigm of the pathogenesis of diseases through the understanding of stem cell aging |
Project/Area Number |
17H05648
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩森 巨樹 九州大学, 農学研究院, 准教授 (70647362)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 老化 / 精子幹細胞 / ヒストン脱メチル化酵素 / エピジェネティックス |
Outline of Annual Research Achievements |
精子形成は個体のほぼ一生に渡って継続するが、加齢に伴って繁殖能力は低下する。この原因は精子幹細胞の老化にあると考えられる。我々は雄性生殖細胞でヒストンH3リジン27(H3K27)脱メチル化酵素JMJD3を欠損させると長期間にわたって繁殖能力が維持される抗老化現象を見出した。この結果からはJMJD3欠損によって幹細胞の抗老化が誘導されたことが示唆されるが、JMJD3欠損によって、通常精原細胞には発現していない別のH3K27脱メチル化酵素UTXが異所的に発現してくることを見出した。そのため、JMJD3の欠損あるいはUTXの異所的発現のどちらが幹細胞老化に重要であるか調べることを目的とした。まず、野生型およびJMJD3欠損CD9陽性精子幹細胞画分のRNAシークエンスを行い、発現遺伝子のプロファイリングを行なった。その結果、精子分化に関わる遺伝子群のほか、細胞間架橋を構成する細胞骨格関連遺伝子の発現に変動が見られた。また、老齢の野生型およびJMJD3欠損精子幹細胞画分のRNA-seqおよびH3K27のChIP-seqを間も無く行う予定である。また、UTXコンディショナルノックアウトマウスとJMJD3コンディショナルノックアウトマウスの交配を開始しており、準備が出来次第、JMJD3/UTX二重欠損精子幹細胞のRNA-seqおよびChIP-seqを行う。また、共同研究によりJMJD3がストレス刺激に応じてオートファジー関連遺伝子を活性化することを見出した。老化精子幹細胞の制御にもでもJMJD3あるいはUTXに応じてオートファジー機構が関係して来る可能性を踏まえて解析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年1月に所属を異動した為、研究環境に変化が生じ、当初研究進捗状況は遅れていたが、野生型およびJMJD3欠損精子幹細胞の遺伝子発現プロファイルを解析することができ、さらに、間も無く老齢の野生型およびJMJD3欠損精子幹細胞の遺伝子発現プロファイルおよびChIP-seq解析を行う予定である。また、異動後に、再度UTXコンディショナルノックアウトマウスの作製を目指していたが、困難を極めた為、共同研究としてUTXコンディショナルノックアウトマウスを入手でき、後輩も開始できたので、当初の遅れは取り戻せていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
間も無く、老齢の野生型およびJMJD3欠損精子幹細胞画分のRNA-seqおよびH3K27のChIP-seqを間も無く行う予定である。得られた結果をこれまで得られた遺伝子発現プロファイルと比較解析し、精子幹細胞の老化・抗老化に関わる候補遺伝子の抽出に努める。また、共同研究によりJMJD3がストレス刺激に応じてオートファジー関連遺伝子を活性化することを見出した。老化精子幹細胞の制御にもでもJMJD3あるいはUTXに応じてオートファジー機構が関係して来る可能性を踏まえて解析を進める。また、UTXコンディショナルノックアウトマウスとJMJD3コンディショナルノックアウトマウスの交配を開始しており、準備が出来次第、JMJD3/UTX二重欠損精子幹細胞のRNA-seqおよびChIP-seqを行う。やはりこの結果をこれまでの結果と比較解析することで、精子幹細胞の老化・抗老化に関わる候補として抽出した遺伝子群がJMJD3とUTXのどちらにより制御されているのか明らかにし、精子幹細胞老化・抗老化に関わるエピジェネティックネットワークを明らかにする。
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Research Products
(6 results)