2017 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of aging on the lineage plasticity of hepatocytes
Publicly Offered Research
Project Area | Establishing a new paradigm of the pathogenesis of diseases through the understanding of stem cell aging |
Project/Area Number |
17H05653
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
谷水 直樹 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (00333386)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分化可塑性 / 再生 / 前駆細胞 / 肝臓 / 組織幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
組織幹細胞は、組織の構成細胞を恒常的に供給する細胞で、血液、小腸、皮膚ではその存在が良く研究されている。一方、肝臓のように細胞のターンオーバーの遅い臓器では、組織幹細胞の存在が曖昧な臓器も存在している。我々は、慢性的に障害された肝臓において、成熟肝細胞が脱分化し、SOX9(+)CD24(+)肝前駆細胞に変化する現象を見出した。 肝臓の再生能力は、加齢とともに低下するが、その分子メカニズムは明らかになっていない。そこで、本研究では、肝臓をモデルとして、成熟細胞の分化可塑性が組織保護や障害後の修復にどのように寄与しているのか、加齢によって組織再生能力や分化可塑性がどのような影響を受けるのかを明らかにすることを目指す。 本年度は、成熟肝細胞とSOX9(+)CD24(+)細胞の遺伝子発現プロファイルを比較することで、前駆細胞に変化した際に発現上昇する遺伝子を同定した。加齢による分化可塑性の変化を明らかにするために、週齢の異なるマウスにDDC-dietを与えて障害を誘導し、SOX9(+)CD24(+)細胞を分取した。また、障害肝臓で現れるSOX9(+)CD24(+)細胞の元となる可能性があるICAM-1(+)肝細胞についても、週齢の異なるマウスからの分取を行った。さらに、正常肝から分離できるICAM-1(+)肝細胞のうち、継続して増殖能を示す細胞では、CD24およびCD133が発現上昇すること、特にCD133は前駆細胞の増殖能と分化能の維持に関連性があることが明らかにした。 肝細胞の脱分化がみられ、加齢によって障害の重篤度、再生遅延がみられる障害モデルの探索を行った。その結果、アセトアミノフェン投与急性劇症肝炎モデルでは、加齢によって生存率が低下することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肝細胞の前駆細胞化によって発現が変化する遺伝子候補を得ることができた。加齢による再生能力の変化と前駆細胞化誘導の関係を示すデータは得られていない。脱分化誘導と加齢の関係を分子レベルで示すような研究を進めなくてはならない。
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Strategy for Future Research Activity |
肝臓の脱分化によって発現上昇する遺伝子について、加齢によって発現量が変化する遺伝子を同定する。加齢によって発現誘導が低下する遺伝子に着目し、in vitro およびin vivoでの機能解析を進める。 前年度に、週齢の異なるマウスから分取したSOX9(+)CD24(+)前駆細胞と、ICAM-1(+)肝細胞の遺伝子発現プロファイルを調べ、加齢による遺伝子に変化を明らかにする。 アセトアミノフェン投与、およびDAPM投与モデルでは、急性障害ではあるが、肝細胞脱分化がみられる。加齢によって生存率が低下するとともに、脱分化誘導の変化と関連性があるのかを検討する。また、マウスにNotch活性型を導入すると前駆細胞を誘導できるので、両障害モデルにおいては、候補遺伝子を障害に先立って導入し、障害からの組織保護に寄与するかどうかを検討する。
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