2018 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロンの基質選択と活性発現における動的構造基盤
Publicly Offered Research
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
17H05657
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋尾 智英 北海道大学, 理学研究院, 助教 (80740802)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 分子シャペロン / 立体構造 / 結合解離速度 / NMR / フォールディング / プロリン異性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生タンパク質の折りたたみや輸送を制御するシャペロンの作用機序はこれまでほとんど明らかになっていなかった.本研究では,溶液NMRを主体とした立体構造解析と速度論解析によって,Trigger Factor (TF) シャペロンの活性発現メカニズムの一端を解明した. TFは溶液中で二量体を形成するが,その意義や活性への影響は明らかにされていなかった.そこで本研究ではまず,溶液NMRによって100 kDa TF 二量体の高分解能立体構造を決定した (Saio et al. 2018 eLife).その結果,TFは逆平行の対称二量体を形成し,それによって基質結合サイトが寄せ集められ,一つの大きな面を形成することが明らかになった.速度解析の結果,TFはこの基質結合サイトの集積によって基質タンパク質との結合速度を上昇させていることが明らかになった.さらに,TFは二量体形成によって基質タンパク質を変性状態に保つholdase活性や,凝集を抑制する抗凝集活性を向上させていることが明らかになったことから,TFは二量体形成によって基質との結合速度を制御し,活性を調節しているという新たなメカニズムが明らかになった(Saio et al. 2018 eLife). さらに本研究では,TFの活性ドメインであるプロリン異性化ドメインPPDの触媒メカニズムを明らかにした.PPDはプロリン残基直前のペプチド結合のcis/trans異性化を促進するが,そのメカニズムについては諸説提唱され,真相は謎に包まれていた.我々は,プロリンを含む基質ペプチドとの複合体立体構造解析とMDシミュレーションによって,PPDによるプロリンの認識と,cis/trans反応の遷移状態の安定化メカニズムについての詳細を明らかにした (Kawagoe et al. 2018 J Biol Chem).
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(17 results)