2017 Fiscal Year Annual Research Report
Multi-layered degradation of nascent chain through unstructured region
Publicly Offered Research
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
17H05664
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
伊野部 智由 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 准教授 (50568855)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 新生鎖 / プロテアソーム / Unstructured領域 / 分子シャペロン / 品質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロテアソームによる効率的な蛋白質分解には、ポリユビキチン化だけでは不十分で、基質蛋白質自身にUnstructured領域が必要である。リボソーム上の新生ポリペプチド鎖(新生鎖)でも、構造を形成していないUnstructured領域を多く含むが、異常新生鎖には、さらにCAT-tailとよばれるUnstructured領域も取り付けられている。そのため、このような新生鎖の分解決定にもUnstructured領域が関与していると考えられる。さらに分子シャペロンとUnstructured領域の相互作用や、凝集体の形成も、新生鎖の分解と関わっている可能性がある。そこで本年度は、プロテアソームによる異常新生鎖の分解は、CAT-tailなどのUnstructured領域の影響を受け、さらにUnstructured領域への様々な分子シャペロンの結合により、分解の調整がされるという仮説の検証を目指した。 Unstructured領域となる翻訳アレスト配列とCAT-tailは、異常新生鎖のプロテアソームによる分解に関与しているだけでなく、異常新生鎖の凝集促進にも関与していることがわかった。しかしながら分解と凝集促進への関与は非常に複雑であり、翻訳アレスト配列とCAT-tailの分解および凝集促進への寄与の定量的評価を今後行う必要がある。 また新生鎖のUnstructured領域と、特異的に相互作用するタンパク質の検出をプルダウンアッセイで行ったところ、CAT-tail Unstructured領域と大腸菌分子シャペロンDnaKとの相互作用は確認できたものの、CAT-tail付加機能をもつ真核生物において、強力かつ特異的に相互作用する分子シャペロンは見いだせなかった。今後、翻訳アレスト配列も含めたUnstructured領域と分子シャペロンとの相互作用を検証し、分解や凝集への影響を調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 新生鎖に付加されたUnstructured領域がプロテアソームによる分解に与える影響 リボソーム上でポリユビキチン化される異常新生鎖のC末端には、翻訳アレスト配列(塩基性アミノ酸配列など)の後にCAT-tailが付加されている。これまでの研究で、Unstructured領域となる翻訳アレスト配列とCAT-tailは、異常新生鎖のプロテアソームによる分解に関与しているだけでなく、異常新生鎖の凝集促進にも関与していることがわかった。しかしながら分解と凝集促進への関与は非常に複雑であり、翻訳アレスト配列とCAT-tailの分解および凝集促進への寄与の定量的評価はまだ行えていない。
2.Unstructured領域結合分子シャペロンによるプロテアソームの新生鎖分解の制御 新生鎖のUnstructured領域は、分子シャペロンと相互作用すると考えられる。これまで行ったプルダウンアッセイの結果、CAT-tail Unstructured領域と大腸菌由来Hsp70であるDnaKとの相互作用は確認できたものの、CAT-tail付加機能をもつ真核生物において、強力かつ特異的に相互作用する分子シャペロンは見いだせていない。現在、翻訳アレスト配列も含めたUnstructured領域と相互作用する分子シャペロンの検索を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 新生鎖に付加されたUnstructured領域がプロテアソームによる分解に与える影響 リボソーム上でポリユビキチン化される異常新生鎖のC末端には、翻訳アレスト配列(塩基性アミノ酸配列など)の後にCAT-tailが付加されている。翻訳アレスト配列とCAT-tailの分解および凝集促進への寄与の定量的評価を行うために、翻訳アレスト配列とCAT-tailを、様々な組み合わせでC末端に付加したモデルタンパク質を構築し、分解および凝集促進効果を網羅的に見積もる。また酵母細胞内において、これらのモデルタンパク質の毒性評価を遺伝子つなひき法(gTOW)で行う。 2.Unstructured領域結合分子シャペロンによるプロテアソームの新生鎖分解の制御 異常新生鎖のUnstructured領域は、分子シャペロンと相互作用すると考えられるが、これまでのところCAT-tail Unstructured領域と強力かつ特異的に相互作用する真核生物由来の分子シャペロンは見いだせていない。本年度は翻訳アレスト配列も含めたUnstructured領域と分子シャペロンとの相互作用を検討し、分子シャペロンが異常新生鎖の分解を制御するのか、その凝集体形成阻害効果も考慮に入れながら、検証する。 3.蓄積した異常新生鎖のアダプター蛋白質による分解誘導方法の開発 リボソーム上で異常新生鎖にポリユビキチン鎖を取り付けるユビキチンリガーゼListerin (Ltn1) の変異により、異常新生鎖が蓄積し、神経変性を引き起こすことが知られている。そこでポリユビキチン化を免れた異常新生鎖をプロテアソームに運び込み、分解を誘導する「アダプター蛋白質」を開発し、神経変性疾患の治療に役立てる。
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