2017 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質新生鎖の末端プロテオーム解析
Publicly Offered Research
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
17H05667
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石濱 泰 京都大学, 薬学研究科, 教授 (30439244)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | タンパク質末端プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
新規末端ペプチド濃縮法であるCHAMP法を開発し、末端プロテオーム解析プラットフォームを確立するとともに、新生鎖プロテオーム抽出のための安定同位体パルス標識法と組み合わせることにより、タンパク質新生鎖の大規模末端プロテオーム解析を実現することを目的としている。今回新たに開発したN, C末端ペプチド同時濃縮法であるCHAMP法(CHArge-Mounted Positional separation by ion exchange chromatography)は、プロテアーゼによる消化とその後のイオン交換クロマトグラフィーのみで構成される。本年度はタンパク質N末端ペプチドの濃縮法確立に注力し、イオン交換クロマトグラフィーとして、タンパク質分離用HPLC-SCXカラムを用い、アイソクラティック溶離条件下でタンパク質N末端ペプチドを内部切断ペプチドからほぼ完全に分離することに成功した。またプロテアーゼによる消化条件も精査し、切れ残りを最大限抑制した。ヒト培養細胞株HEK293および大腸菌をモデル試料として、N末端解析を行ったところ、タンパク質N末端ペプチドの含有率95%以上で濃縮することに成功した。また、HEK293では約90%のN末端はアセチル化修飾を受けていた。一方、タンパク質C末端ペプチド濃縮においてもHPLC-SCXによる高分離能分離は有効で、プロテアーゼによる消化後、アミノ基を化学修飾することにより、効率よく濃縮することが可能であった。オミクスによる俯瞰と従来の個別分子解析は、相補的であり相乗効果も期待でき、本法を用いた新生鎖産生の新規制御機構の解明が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初の計画通りに進行している。C末端解析が若干遅れているが、次の一年で十分に取り戻せると考えてる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) CHAMP法・安定同位体パルス標識法により、様々な生物種の新生鎖末端プロテオミクス解析および末端修飾解析を行う。 前年度に引き続き、CHAT法・安定同位体パルス標識法により、様々な生物種の新生鎖末端プロテオーム解析を行う。さらに、また末端修飾についても、様々な条件下でどのような挙動を示すかについて、詳細な測定をおこなう。測定プラットフォームの確立に伴い、本新学術領域内の各計画班や公募班との共同研究にも着手する。 (2) バクテリアのN末端修飾の生理的意義を探索する。 バクテリアのN末端修飾で発見されたリン酸化修飾およびアシル化修飾について、その責任酵素の同定を含めた修飾の生理的な意義の探索を行う。総括班による領域ホームページ開設や成果公開と協調して、末端プロテオームデータベースを構築し、公開する。MSMSスペクトルなどの生データとともに公開する。
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