2017 Fiscal Year Annual Research Report
新生鎖分解による小胞体の予防的品質管理システムに関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
17H05670
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
西頭 英起 宮崎大学, 医学部, 教授 (00332627)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの新規合成タンパク質は翻訳後すぐに分解されることと、リボソームの多くが小胞体に結合していることと併せ考えると、翻訳時挿入に関わるリボソーム上での新生鎖分解機構を明らかにすることは、真核細胞のタンパク質品質管理の観点から極めて重要である。細胞は、ストレス時に小胞体ホメオスタシス破綻を避けるために、本来小胞体に挿入されるべきシグナル配列を持つタンパク質の翻訳を細胞質内で完了し直接分解する(小胞体の予防的品質管理システム、ER stress-induced pre-emptive quality control:ERpQC)。しかし、そのメカニズムには不明な点が多い。本研究では、前年度までの本領域研究成果をもとに、ERpQCの更なる分子メカニズムを解明するとともに、その生理的意義について、特に中枢神経系組織を用いて検証することを目的とする。 ERpQCの分子メカニズムとして、小胞体膜タンパク質Derlinファミリーが小胞体ストレス時にタンパク質の翻訳時挿入を阻害し、それら(ERpQC基質)はp97とBag6を介してユビキチン分解されることを報告した。さらにE3ユビキチンリガーゼとしてHRD1を同定している。小胞体タンパク質は、基質となるものと、ストレス時にも分解を免れて小胞体へ挿入される分子(BiPなどのシャペロン群)に大別されることを見出した。これらの知見をもとにH29年度は、ERpQCの基質側の選別の分子メカニズムとERpQC装置構成因子の更なる同定・解析を進めるとともに、ERpQC特異的阻害剤の開発により、その生理的意義の解明に務めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、下記内容について研究実施した。 <基質に関する研究>ERpQC基質の同定:これまでに基質として、TTR、α1AT、Insulin、Prionなど約10種類程が示されているが、基質選別の普遍性を見出すために網羅的基質探索し、基質の同定に成功した。ERpQC基質の翻訳速度解析:ERpQC基質とそれ以外の分子では、一次構造の部位特異的に翻訳速度に差があり、そのことがDerlinを介した認識の有無に繋がると予想されたことから、リボソームプロファイルによるmRNA翻訳速度比較を目指して、アッセイ系を確立した。 <装置に関する研究>ERpQC基質結合分子の同定:ストレス時に新生鎖ERpQC基質に結合する分子を網羅的に探索し、複数の基質に共通して結合する8分子を同定した。これらの分子が基質の選別にどのように関わるかに関して、各因子の欠損細胞を作製しERpQCにおける必要性を検証し、その役割を明らかにした。 <細胞内局在に関する研究>ERpQC局在解析:基質の蓄積、およびDerlin、Sec61との共局在をproximity ligation assayにて解析する。現在までに過剰発現系で、Derlin-1-FlagとSec61α-HA、Flag-TTRとDerlin-1-HAの近接可視化に成功した。 <生理的意義に関する研究>ERpQC阻害分子の探索: Bag6またはp97の欠損細胞において観察されるERpQC基質蓄積を阻害する化合物を探索した。スクリーニング系はFlag-TTR-HAを用いて、タグ抗体によるスクリーニング系を構築し、次年度のスクリーニングを可能にした。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度までに計画した研究内容については、予定どおりの進捗が得られているため、H30年度も引き続き計画書通りの研究遂行に努める。また、研究成果を論文発表する。
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[Journal Article] The Src/c-Abl pathway is a potential therapeutic target in amyotrophic lateral sclerosis2017
Author(s)
Imamura K, Izumi Y, Watanabe A, Tsukita K, Woltjen K, Yamamoto T, Hotta A, Kondo T, Kitaoka S, Ohta A, Tanaka A, Watanabe D, Morita M, Takuma H, Tamaoka A, Kunath T, Wray S, Furuya H, Era T, Makioka K, Okamoto K, Fujisawa T, Nishitoh H, et al.
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Journal Title
Sci. Transl. Med.
Volume: 9
Pages: 3962~3962
DOI
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