2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of degradation signals presented on aberrant nascent polypeptides
Publicly Offered Research
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
17H05681
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
佐伯 泰 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 副参事研究員 (80462779)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ユビキチン / プロテアソーム / タンパク質分解 / 不良新生鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
翻訳に失敗した不良新生鎖はリボソーム品質管理(RQC)複合体とプロテアソームの連携により迅速に分解除去されるが、不良新生鎖がどのような様式でユビキチン化されるのか、そしてどのような機構によりプロテアソーム分解が保障されているのか不明である。本研究では、最も解析が進んでいる酵母を用いて、不良新生鎖に付加されるユビキチン修飾の定量解析(ユビキチン化サイト・鎖タイプ・鎖長)および試験管内におけるプロテアソーム分解再構築により、ユビキチン化による不良新生鎖のフォールディング阻害、ユビキチン選択的シャペロンCdc48/p97複合体やシャトル分子Rad23によるプロテアソームへの基質運搬など不良新生鎖を効率的に分解するための機構を明らかにすることを目的とする。 平成29年度は、翻訳アレストを引き起こすモデル基質FLAG-GFP-non stopおよびFLAG-GFP-R20rareの質量分析解析により、ユビキチン化サイトが複数あること、K48連結型ユビキチン鎖が付加されることを見出した。また、Cdc48-Ufd1-Npl4複合体がユビキチン化基質の鎖長制御に関与することを見出し、不良新生鎖のリボソームからの引き抜きがユビキチン鎖長により制御される可能性が示唆された。一方、試験管内においてGFP基質を効率良くユビキチン化する系を確立し、GFP基質の解きほぐしとプロテアソームによる分解をモニターする新しい実験系を作出した。GFP基質は非構造領域をもつテイルを付加することでプロテアソーム分解が促進するが、テイルが無い場合分解されない。本再構築系は、Cdc48-Ufd1-Npl4複合体による解きほぐし活性の検出とポリリジンやCATテイルなどが分解効率に与える影響を解析することが可能であるため、次年度以降、それらを精査する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)ユビキチン修飾の質量分析解析:翻訳アレストを引き起こすモデル基質FLAG-GFP-non stopおよびFLAG-GFP-R20rareを酵母に発現させ、プロテアソーム阻害剤処理後、坑FLAG抗体によりアフィニティー精製した。次いで、トリプシン消化後、質量分析計で解析することでユビキチン化サイトおよびユビキチン鎖の種類を解析した。その結果、複数のユビキチン化サイトが同定されると共に、C末端領域のCATテイル付加が検出された。また、Ub-AQUA/PRM法によりユビキチン鎖を絶対定量したところK48鎖が主要であったことから、Cdc48-Ufd1-Npl4複合体はK48鎖を認識することが細胞内の実験より明確となった。 (2)Cdc48-Ufd1-Npl4複合体によるユビキチン鎖長制御:ユビキチン鎖長解析法(Ub-ProT法)を用いて、Cdc48複合体の変異体中で蓄積するユビキチン化基質の鎖長を解析した。その結果、cdc48-3変異体とnpl4-1変異体において、ユビキチン鎖が劇的に伸長していた。他のCdc48結合コファクター(SHP1、UFD2、UFD3、OTU1)の欠損株では野生型とほぼ同等の鎖長であったことから、Cdc48-Ufd1-Npl4複合体によるユビキチン化基質の引き抜き活性はユビキチン化反応を終結させるというモデルを提唱した(Tsuchiya et al, Nat Commun, 2018)。 (3)試験管内再構築実験:モデル基質Ub-GFP-tailをgp78-E2融合リガーゼによりユビキチン化し、プロテアソーム精製標品による分解を試みた。その結果、非構造のtailを有する場合はプロテアソーム依存的な分解が観察された。今後、Cdc48-Ufd1-Npl4依存的な解きほぐし活性とシャトル分子RAD23依存性について検討する。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も引き続き不良新生鎖のユビキチン修飾を解析し、さらに試験管内における不良新生鎖分解の再構築系を作出する。 (1)不良新生鎖のユビキチン修飾の解析:モデル基質FLAG-GFP-non stopおよびFLAG-GFP-R20rareについて、GFPとアレスト配列の間に様々な長さのリンカー配列を挿入することで安定性とユビキチン化サイトが変動するか解析すると共に、Ub-ProT法により不良新生鎖に付加したユビキチン鎖の鎖長を解析する。 (2)デコーダー分子の解析:不良新生鎖はリボソーム上でユビキチン化された後、ユビキチン選択的シャペロンCdc48/p97により引きずり出され、プロテアソームにより分解されるが、詳細な機構は不明である。本研究者はCdc48の下流でシャトル分子Rad23、Dsk2がプロテアソームへの基質運搬に重要な機能を果たしていることを見出しているため、Rad23とDsk2の欠損株を用いて不良新生鎖の安定性を解析する。 (3)試験管内再構築実験:平成29年度にユビキチンGFPのプロテアソーム分解再構築系を確立したので、Cdc48-Ufd1-Npl4やRad23をさらに添加することで、基質分解速度やGFPの解きほぐしが亢進するか解析する。 次いで、ポリリジン配列やポリアルギニン配列、CATテイルを付加した基質タンパク質を作製し、プロテアソーム分解に対する影響を解析する。
|
-
[Journal Article] Ub-ProT reveals global length and composition of protein ubiquitylation in cells2018
Author(s)
Tsuchiya, H., Burana, D., Ohtake, F., Arai, N., Kaiho, A., Komada, M., Tanaka, K., and Saeki, Y.
-
Journal Title
Nature Communication
Volume: 9
Pages: 524
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-