2017 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン以外のプリオン病の病原体の同定とその病原性メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Prevention of brain protein aging and dementia |
Project/Area Number |
17H05701
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
坂口 末廣 徳島大学, 先端酵素学研究所(次世代), 教授 (60274635)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プリオン / インフルエンザウイルス / プリオンタンパク質 / 構造変換 / インターロイキン1β |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、インフルエンザウイルスが正常プリオンタンパク質(以下、正常プリオン)の構造変化を引き起こし、感染性を有する異常プリオンタンパク質(以下、異常プリオン)に変換させる能力を有することを明らかにするとともに、その意義について解析を行う。プリオン病は、プロテイナーゼK抵抗性の異常プリオンが脳内に蓄積し起こる神経変性疾患である。プリオン病では、神経細胞の正常プリオンが異常プリオンに構成的に構造変換し、その結果異常プリオンが脳内に蓄積し病気が起こる。孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病はヒトのプリオン病の大部分を占めるが、原因不明である。プリオンの感染で起こる感染性プリオン病は全プリオン病の1%以下であり、プリオン蛋白質遺伝子の変異により起こる遺伝性プリオン病は10%程度である。 本研究では、培養神経細胞にインフルエンザウイルスを感染させると、正常プリオンがプロテイナーゼK抵抗性の異常プリオン様のプリオン蛋白質に変換することことを発見した。これらの結果は、インフルエンザウイルス感染もプリオン病の原因である可能性を示唆した。また本研究では、インフルエンザウイルスを感染させると、プリオン感染細胞ではインフラマソームの形成が促進されインターロイキン1βが過剰に放出され、その結果インフルエンザウイルス感染による細胞死が抑制されることも見出した。これらの結果は、異常プリオンへの構造変化はインフルエンザウイルス感染に対する宿主の防御機能である可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、培養神経細胞にインフルエンザウイルスを感染させると、正常プリオンがプロテイナーゼK抵抗性の異常プリオン様のプリオン蛋白質に変換することことを発見し、インフルエンザウイルス感染がプリオン病の原因である可能性を示した。また本研究では、正常プリオンから異常プリオンへの構造変化はインフルエンザウイルス感染に対する宿主の防御機能である可能性を示した。現在、論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、インフルエンザウイルス感染により引き起こされる細胞内イベントを特定し、インフルエンザウイルス感染による正常プリオンから異常プリオンへの構造変換またはプリオン産生におけるそれぞれのイベントの役割について明らかにし、インフルエンザウイルス感染による正常プリオンから異常プリオンへの構造変換およびプリオン産生のメカニズムを解明する。また、正常プリオンから異常プリオンへの構造変化によるインフルエンザウイルス感染に対する宿主の防御機能のメカニズムについても明らかにする。
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Research Products
(3 results)