2017 Fiscal Year Annual Research Report
Structural and functional analysis of novel regulatory molecules in metabolism under fluctuating light
Publicly Offered Research
Project Area | New Photosynthesis : Reoptimization of the solar energy conversion system |
Project/Area Number |
17H05732
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
松村 浩由 立命館大学, 生命科学部, 教授 (30324809)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | プロトン駆動力制御 / C4植物 / 分子機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1)CP12-3の標的探索と相互作用解析、(2)CP12/GAPDH/PRK複合体の動的構造機能解析、(3)CP12-3/標的および関連酵素群の動的構造機能解析を行った。 (1)については、CP12-3の発現・精製、ならびに標的候補の酵素としてMDH, NADP-ME, PRK, GAPDHの発現・精製を試みた。CP12-3, MDH, NADP-MEについては大腸菌での発現・精製系構築することができた。精製できたものについて相互作用解析を行った。その結果から、CP12-3がCP12とある程度共通の機能を有しながらも、全く同じではないことが分かりつつある。現在、他の酵素についても発現・精製系を構築中であり、これらが精製でき次第、結合実験と構造機能解析を行う予定である。 (2)については、酸素発生型光合成生物で初めてPRKの結晶構造を決定し、それと小角X線散乱から得られた結果、および変異体実験とを合わせて論文投稿準備中である。さらに、高速AFM観測によるCP12/GAPDH/PRK複合体の形成を初めて確認できた(後述)。これらの観測系の確立は、今後、CP12-3とその結合パートナーが解明できた際に役立てることができると考えている。 (3)については、CP12-3の標的が決定でき次第、X線構造解析を行う予定である。さらに、領域内の共同研究として、葉緑体内のNAD/NADPバランスを司る酵素NADKの構造解析(埼玉大学 河合先生)、C4光合成およびコハク酸合成の鍵酵素PEPCの構造解析(明治大学 小山内先生)、温度馴化に関わる酵素の構造機能解析(東京大学 矢守先生)、コハク酸合成の鍵酵素の構造機能解析(大阪大学 清水先生、大阪大学 栗栖先生)、ジスルフィド調節タンパク質CP12の機能利用(東京工業大学 久堀先生)を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)CP12-3の標的探索と相互作用解析、(2)CP12/GAPDH/PRK複合体の動的構造機能解析、(3)CP12-3/標的および関連酵素群の動的構造機能解析、それぞれにおいて進展が見られ、おおむね順調に進展していると考えている。理由を以下に述べる。 (1)については、CP12-3の発現・精製系の構築に成功し、結合する候補の酵素の発現・精製系の構築もできつつある状況であるが、CP12-3の標的候補MDH, NADP-ME, PRK, GAPDHには、ホモログ遺伝子がいくつか存在していて、どの組織にどの程度発現しているかが不明な点が多い。そのため、ホモログの酵素も含めて生産・精製系の構築を引き続き行う必要がある。また、大腸菌をホストとした生産方法では、うまく発現しないものも幾つか出てきており、現在、酵母での発現系や、幾つかの可用性タグとの融合タンパク質としての発現を試みている。 (2)については、酸素発生型光合成生物で初めてPRKの結晶構造を決定するなど進展が見られている。さらに、高速AFM観測によるCP12/GAPDH/PRK複合体の形成・解離の動的挙動を初めて確認できた。これは今後の(1)のCP12-3と標的との相互作用解析にも適用できると考えられる。 (3)については、当初計画になかった領域内連携として、領域内の8名の研究者と共同研究を始めており、今後も積極的に進めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)CP12-3の標的探索と相互作用解析 CP12-3と標的酵素との相互作用を高速AFMを用いて解析する。具体的には、「CP12-3の標的タンパク質は何か?」を決定するところから始め、結合した代謝物や環境の変化よって「CP12-3/標的酵素間の結合・解離の速度に変化はあるか?」、「CP12→GAPDH→PRKのように結合に順番はあるのか?」を調べる。 (2)CP12/GAPDH/PRK複合体の動的構造機能解析 CP12/GAPDH/PRK複合体の構造解析を行う。CP12の部位特異的アミノ酸変異体を作製することによって、CP12/GAPDH/PRK複合体の安定複合体を用いて結晶化を検討する。「CP12はGAPDH、PRKをどのように認識し制御しているか?」を分子レベルで解明する。(1)の結果と比較することによって、「CP12とCP12-3が、なぜ、どのように違うか」を考察する。 (3)CP12-3/標的および関連酵素群の動的構造機能解析 CP12-3の標的酵素を決定でき次第、CP12-3/標的酵素複合体の構造解析を行う。また、領域内の共同研究を積極的に進める。具体的には、葉緑体内のNAD/NADPバランスを司る酵素NADKの構造解析(埼玉大学 河合先生)、C4光合成およびコハク酸合成の鍵酵素PEPCの構造解析(明治大学 小山内先生)、低温馴化酵素RuBisCOの構造解析(東京大学 矢守先生)、大腸菌でのコハク酸合成鍵酵素PEPCの構造解析(大阪大学 清水先生、大阪大学 栗栖先生)、ピルビン酸輸送体Bass2-NHD1の構造解析の可能性検討(龍谷大学 古本先生)、ジスルフィド調節タンパク質CP12の機能利用(東京工業大学 久堀先生)を進める。今後も積極的に共同研究を展開していきたいと考えている。
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Research Products
(17 results)