2017 Fiscal Year Annual Research Report
老化に伴う神経回路のスクラップ&ビルド
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic regulation of brain function by Scrap & Build system |
Project/Area Number |
17H05736
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
殿城 亜矢子 千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (90645425)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 味覚 / 老化 / ニューロペプチド / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
老化に伴って味覚は変化する。しかし、神経細胞や神経回路レベルで長期的にどのような変化が起こることで、老化に伴い味覚の感受性が変化するのか分かっていない。本研究ではショウジョウバエ味覚神経系をモデルとして、神経回路が老化に伴ってどのようにスクラップ&ビルドすることにより味覚の変化が起こるのかを明らかにすることを目的とした。ショウジョウバエにおける味覚に対する加齢の影響を検討したところ、ハエ老齢個体では若齢個体に比べて甘味に対する感受性が顕著に増加していること、苦味に対する感受性が低下していることを明らかにした。甘味、苦味それぞれの味覚受容神経細胞、味覚投射神経細胞の投射パターンの加齢による変化を検討したところ、これらの投射パターンの加齢による顕著な変化は見られなかった。一方で、味覚神経の調節作用を持つ神経ペプチド性ニューロンとして、甘味の感受性を増加させるニューロペプチドF(dNPF)発現神経細胞、苦味の感受性を低下させるショートニューロペプチドF(sNPF)発現神経細胞に着目し、これらの加齢の変化を検討した。その結果、dNPFの発現量が加齢に伴い増加すること、dNPF発現神経細胞の投射が加齢に伴い増強することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画に沿って、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
A)甘味、苦味味覚神経細胞の神経活動について、加齢による変化を明らかにする:甘味、苦味それぞれに対して味覚受容神経細胞、投射神経細胞の神経活動をカルシウムイメージングにより捉え、加齢による変化を明らかにする。加齢による味覚感受性の変化が神経活動の変化によるものなのかを明らかにする。 B)味覚神経の調節作用をもつ神経ペプチド性ニューロンの加齢による変化を明らかにする:味覚神経の調節作用を持つ神経ペプチド性ニューロンであるニューロペプチドF(dNPF)発現神経細胞等の投射パターンや神経活動の加齢による変化をカルシウムイメージング解析で明らかにする。 C)老齢個体における味覚変化は可逆的か?遺伝学的に操作可能か?:老齢個体における味覚の変化が可逆的かどうかを遺伝学的な神経活動の操作により明らかにする。
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