2017 Fiscal Year Annual Research Report
軸索コンパートメントにおけるスクラップ&ビルド
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic regulation of brain function by Scrap & Build system |
Project/Area Number |
17H05742
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久場 博司 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362469)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 軸索 / 神経活動 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
軸索起始部(AIS)の分布の多様性は,未熟なAISが発達過程で短縮や移動などの再編を受けることにより作られる.本研究では,AISが神経核内で細胞毎に異なる分布を示すトリ脳幹の聴覚神経核を対象に,このAIS分布の再編過程を聴覚入力との関連で調べることで,AISでの活動依存的な分布再編の分子機構を明らかにすることを目的としている. NM細胞の周波数域によるAIS分布の違いは,胚齢18日以降から徐々に顕著になる.本年度は,このAIS分布再編過程に対する神経活動の関与について検討を行った.まず,胚齢2日に聴覚原基を除去することで聴神経入力を遮断し,胚齢21日の時点でのAIS分布を調べたところ,AISの分布再編に大きな変化は見られなかった.一方,孵化後に内耳除去による聴覚入力遮断を行った場合には,AISの分布再編は減弱する.このことは,AISの分布再編の神経活動依存性は孵化後に生じる,すなわち時期特異性があることを示唆する.そこで,さらに発達期のNM細胞へKチャネル(Kir2.1)を強制発現させることで,NM細胞の静止膜電位を過分極させ,神経活動を抑制することを試みた.その結果,高周波数領域のNM細胞へのKir2.1遺伝子の発現を確認することはできたものの,胚齢21日の時点でAIS分布に変化はみられなかった.今後は,パッチクランプ法によりKir2.1発現時の膜電位を確認するとともに,より発現効率が高いCMVプロモーターやTet-Off制御下でKir2.1を発現するコンストラクトの効果を検討する予定である.また,AISの分布再編前後での遺伝子発現プロファイルの解析も開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNAseq解析に用いる資料(RNA)の採取を行う過程で,対象とする聴覚神経細胞が内耳除去を行うと予想に反して細胞死を起こすことにより資料が予定よりも遥かに微量となり,十分量を確保するには個体数を大幅に増やす必要があったため.
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Strategy for Future Research Activity |
切片培養標本を用いて,薬理阻害によりAISの分布再編の分子経路(シグナリング)のスクリーニングを行なう.特に,CaチャネルやCa依存性酵素の阻害効果を調べる.同時に,RNAseqにより同定したAISの分布再編に関わる候補分子について,電気穿孔法によるノックダウンや過剰発現を行うことにより,その関与を検証する.
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