2017 Fiscal Year Annual Research Report
Neuronal network formation by Scrap & Build system in the growth cone
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic regulation of brain function by Scrap & Build system |
Project/Area Number |
17H05756
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
戸島 拓郎 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 研究員 (00373332)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 成長円錐 / 軸索ガイダンス / 膜交通 / 細胞内オルガネラ / 生細胞イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
発生期の神経細胞から伸びる軸索突起の先端構造(成長円錐)は、細胞外の軸索ガイダンス因子を感受して自らをスクラップ&ビルドすることで正しい経路選択を行う。研究代表者はこれまでに、「エクソサイトーシスとエンドサイトーシスによる軸索ガイダンス制御」という新概念を世界で初めて提唱・証明してきた。本課題では、研究代表者のこれまでの研究を飛躍的に発展させ、成長円錐のスクラップ&ビルドを統合的・協調的に制御するための細胞内膜交通システムの全貌を解明することを目的とする。 平成29年度は、成長円錐内に膜交通を担う小胞体・ゴルジ体・エンドソーム・オートファゴソームといった各種オルガネラが存在することを明らかにし、それらの詳細な時空間動態を可視化した。さらにRUSHシステム(Boncompain et al, Nat Methods. 2012)により、小胞体で合成された積荷分子が成長円錐のゴルジ体を通過する様子も可視化できた。また、新規ゴルジ体内腔Ca2+センサーの開発に成功し、生理活性物質受容に応じてゴルジ体内腔Ca2+が変動することを明らかにした。 並行して、高速超解像コンフォーカル顕微鏡の開発を推進し、高速カメラ(1000 frames/s)による光子数計数と帯域外外挿デコンボリューションによって、固定標本では約70 nmの空間分解能を達成した。また、ピエゾ三角波駆動によりタイムラグなしの高速3D撮像(10 volumes/s)も達成し、これらにより生細胞におけるゴルジ体の詳細な時空間動態を可視化することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種オルガネラや積荷輸送の可視化解析により、成長円錐が独自の膜交通システムを持つことを強く示唆するデータを既に得た。また、今後の解析に必要な可視化ツールの開発にも成功し、高速超解像顕微鏡の劇的な性能向上にも成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、軸索の誘引・反発時に機能する膜交通の積荷分子を同定する。また、誘引性・反発性ガイダンス因子受容に応じたゴルジ体内腔Ca2+変動を明らかにし、ゴルジ体における積荷選別輸送に対するCa2+調節機構にも迫る。高速超解像コンフォーカル顕微鏡の開発をさらに推進し、誘引因子・反発因子受容時の成長円錐内での膜交通の詳細な時空間ダイナミクスの違いについて明らかにしてゆく。これらにより、成長円錐のスクラップ&ビルドを統合的・協調的に制御するための細胞内膜交通システムの全貌解明を目指す。
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